|
教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
|
|
トップ>旧道>岡山>円城の辻 |
|
|
円城の辻(12) ★★★ |
|
|
円城の辻(えんじょうのつじ)の取扱説明書 いつの頃からか、ライダーの聖地と謳われて久しい道の駅円城。週末ともなれば県の内外を問わず単車が集い、四輪での進入が場違いと思わせるほど凌駕する。山陽方面からも山陰側からも上り勾配のピークに位置する現場は、感覚的にも距離的にも一服するには丁度良い。多くのライダー&ドライバーが日頃何気なく行き来している道でもあるが、99.9%の者が円城へ至る道筋の正体を知らぬまま、この世の春を謳歌している。何を隠そう僕もその一人だ。正確を期せば、僕もその一人“だった”。沿道一帯には旧道のそれと分かる無数の残骸が散見されるが、それらを丁寧になぞる過程で、僕の想像を遥かに超える驚くべき現実を目の当たりにする。これまで培ってきた道路感が音を立てて崩れる、それくらいのインパクトは必至の炎上、いや円城の辻の真髄を御覧頂こう。 |
|
|
|
◆激狭待避所の円城側はフリーゲートとなっている 軽トラギリギリサイズの狭隘膨らみの出口付近より振り向けば、セコビッチゲートの待避所⇒松並木化した旧道の残骸⇒激狭待避所と続く一連の線形から鑑みて、現場はとんでもなく見通しの利かないスラローム状にあった事は一目瞭然で、現況との乖離は如何ともし難いものがある。 一時代前の規格からみて現道は高規格も高規格、高速道路と言っても過言ではない程のすんばらしい出来栄えで、大幅な時間短縮と安全性が担保された夢の快走路に、沿線住民のみならず頻繁に利用するドライバー等が、歓喜したであろう往時の様子が容易に目に浮かぶ。 |
|
|
◆激狭待避所の斜め先の向かいに待つ桜並木の旧道跡 本来の谷底は取り着く島が無い程ほとんど平地が見込めず、両側を支配する急峻な斜面と底を縫う急流という構成で、とてもじゃないが道を付けようなどとは思わない車道不適合地にある。但し山間部に展開する本格的な山岳道路はどれも似たり寄ったりで、無理くり付けた感満載の道で溢れている。 国土の八割が急峻な地形にある我が国で、道路を敷設するに当りどこも苦心しているが、当山道も御多聞に漏れず山肌に沿って斜面をL字にカットする従来の手法で開削した為、慢性的な落石や斜面崩壊等の自然災害とは無縁でいられない宿命を背負っている。 |
|
|
◆桜並木の旧道の斜め先の向かいに待つ縦長の旧道跡 今でこそこうして左右の随所に余白が展開する余裕ある仕様に映るが、現在の状況が成立する以前の昭和の晩年頃までは、対向車を意識しない円滑な交通とは無縁の、それこそいつ何時現れるやも知れぬ対向車に怯えながらの過酷な日常があったのだと思わざるを得ない。 狭隘待避所の斜め向かいには、歩道に沿って桜を植樹した桜並木が待ち、その更に先の斜め向かいには、普通車の通り抜けがやっとの実用的な待避所がある。旧道筋をそっくりそのまま流用した膨らみは、花壇仕立てによって本線とは明確に仕切られ、アクシデントが発生した際の一時避難場所として機能する。 |
|
|
◆縦長の待避所の中央付近に四輪進入不可の広場 事実縦長の膨らみの中央付近には、普通車数台が停車可能な広場が備わる。普段は鉄パイプゲートによって封鎖されているが、何等かの障害が発生した際には転回場所として、或いは土砂崩れ等の災害時には前線基地としても機能し、道路掃除のおいちゃん達も作業の際には利用するのではないか。 本線伝いに歩道があるので、わざわざこの旧道を通る者もなく、またこの経路に敢えて進入する車両も皆無に等しく、余程の暇人でない限りこのような場所で何者かを目にするのは稀であるし、何と言ってもその足元の様子が判然とせず、斜面から覆い被さる木々も相俟って、正気だと進入する気になれない。 |
|
|
◆縦長の待避所の足元は判然としないがアスファルト覆工 それを見越してかこの縦長の待避所には、強固な車止めは設けられていない。但しちょっとした集会が可能な中央の広場のみ、四輪の進入を明確に拒むゲートが配され、緊急時以外使用不可という管理者の意図が読み取れる。純粋な旧道筋のほぼ全面に茶色い絨毯が敷かれ、歩行者も躊躇せざるを得ない。 だがその足元はアスファルトに覆われ、実際にはプリウスで突っ込んでもモーマンタイな仕様にある。但し側溝付近の境界が不明瞭で、脱輪したが最後自分でジャッキアップする等の対応を迫られる。単車での通り抜けは苦でもないが、四輪での踏破は心理的にかなり厳しい。 |
|
|
◆縦長の待避所の出口付近は一回りも二回りも狭い仕様 特に出口付近の幅員が一回り狭くなっていて、加茂側からの進入は容易いが、円城側に抜け出る際に側溝に落ちるか側壁に挟まるかといった難易度で、計算されているとしか思えない素敵なアトラクションとなっている。円城側の軽自動車でも進入が叶うか否かの二の足を踏む微妙な幅員が堪らない。 セコビッチゲートの待避所⇒松並木⇒激狭待避所⇒桜並木⇒広場付縦長の膨らみと、途切れる事なく連続性を以て点在する旧道の残骸群は、現道によって分断されてはいるものの、往時の線形を垣間見るに必要にして十分な情報を与えてくれる。 |
|
|
◆縦長の待避所より現道に吸収され旧道は一端消滅する 現ルートに重ならないオリジナルの旧道筋もいいが、重複区でも豊富な残骸に満ちているのであれば、それなりに往時の状況を把握出来る点で評価に値するし、やや面白味に欠けるものの案件としては悪くないように思う。 ただ決定的に足りないものがある。それが青看なりおにぎりなりの当時の遺構だ。そういった類の付帯設備はとっくの昔に撤去されて久しいが、心のどこかで残っていやしないか気になってしまうのが僕の悪い癖でもある。 円城の辻13へ進む 円城の辻11へ戻る |