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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>旧道>岡山>畑ヶ鳴峠 |
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畑ヶ鳴峠(8) ★★★ |
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畑ヶ鳴峠(はたごなるとうげ)の取扱説明書 世の中には地図に刷られている峠名と現地に掲げられている峠名がマッチングしない案件が存在する。国道484号線の畑ヶ鳴峠もその一つだ。ひとつの峠に複数の呼称があるのは然程珍しい訳ではない。峠の前後左右で名称が異なるのは何等不自然ではないし、どれが間違っていてどれが正しいとも言い切れない。世に出回っている地図の原本となる国土地理院の地形図は、2018年現在山の神峠と謳っている。その為市販の地図はそれに従い山の神と刷り込んである。現場は取るに足らない平易な峠で、未来永劫歴史の道踏査報告書で取り扱う日は来ないであろう、そう思い込んでいた、つい最近までは。ところが無視する訳にはいかない驚愕の事実に直面する。全ては知る人ぞ知る秘境カフェ「ナップビレッジ」に始まる。ここに立ち寄ったが最後、単なる峠越えに終始しないコアな世界へと引き摺り込まれていく。本来は酷道として名高い畑ヶ鳴峠であるが、その殻を打ち砕くに十分な破壊力を秘めている同区の真髄を御覧頂こう。 |
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◆川底との高低差が低く集中豪雨の際に川と化すR484 国道感がまるでない路線は探せば全国至る所にあり、当路線の存在が別段珍しいという訳ではない。24時間或いは12時間交通量調査を実施すれば一目瞭然であるが、国道484号線は併走する広域農道に完全に負けている。ってか比較対象として全くお話にならない。 片や全線舗装オール二車線の快走路で、片や擦れ違い困難の狭隘路が断続的に続く見通しの悪い谷底の渓谷路である。西日本豪雨の際には道路そのものが川と化し、水が引き土砂の除去等復旧するまでの間通行止を余儀なくされたのに対し、農道は全くと言っていいほど無傷に等しい状況であった。 |
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◆見通しの利かない離合不能区間が断続的に続く 両者は共に建部市街地と畑ヶ鳴峠を結んでいるが、有事の際にどちらを選択するかは言うまでもなく、有用性は平時に於いても選択の余地がないほど農道が圧倒している。県に管理を委託しているとはいえ、当山道は我が国の根幹を成す重要路線である。なのに農道に完敗という悲しい現実がある。 農道の歴史は浅く、地元民曰く昭和50年代初頭に着工したという。元号が平成に変わっても部分開通しながら延伸し、岡山市北部の建部から有漢インターを経由し、真庭市の北房に至る総延長40kmに及ぶ長大スーパー農道が日の目を見たのは、平成の半ばである。 |
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◆ガードレール未設置の油断ならない危うい箇所 その頃はまさか国道に取って代わる道になろうとは誰も予見出来なかったかも知れないが、当路線を生活道路として利用する者は極めて稀で、事実この沿線に住まう者は数えるほどしかいない。大方の利用者にとって農道は必要にして十分な代替路線と成り得るのだ。 実際にこの道に突っ込んで来る車両の多くは、通行困難な道、所謂酷道走行目的でやって来るマニア、もしくは鼻から交通量極小と知った上でかっ飛ばす走り屋、夏場の渓流遊びや紅葉狩りを嗜む家族や高齢者など、凡そ日常の生活とは無縁な人々の往来が主流である。 |
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◆辛うじて当路線が幹線道路と主張する路傍のおにぎり この道を日常的に通勤通学で利用している者はまずいない。何故ならほとんど谷底を這うようにして進む国道は冬場に凍結し易く、冬期は通行止にせずとも多くの車両が自然と敬遠する。対する農道は尾根伝いを進む為日当たりが良く、ドカ雪でもない限り冬場でも大きな支障はない。 通年安定した通行が望める路線に軸足を置くのは当然の成り行きで、通れるか否かは行ってみなけりゃ分からない路線頼みといのは何とも心許無い。他に選択肢が無いなら兎も角として、現実にフルスペックの快走路があるのだから、わざわざ酷道を走る方がどうかしている。 |
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◆複数の標識で賑わう岡山市と吉備中央町の境界 かくて積極的に当山道を走る車両は激減し、事実上当路線は完全に農道に覇権を奪われた。優劣が決定的となったのは先般の豪雨で、元々使えない道として認知されていた路線が、“危ない路線”として県下に広く認識されるに至った。最早不可逆的な審判が下ったと言っても過言ではない。 下手こくと死ぬかも知れないデンジャラス路線、この汚名を払拭するのは容易ではない。他県に落ちたら死ぬの注意書きのある国道があるが、選択肢を見誤ったら溺死する水没国道の出現は、これまでの道路の概念を根底から覆す新たなイレギュラー路線として、酷道の名に恥じない新ジャンルを確立した。 |
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◆謎めいた当山道のヒントを与える木製の道案内 都心部でもゲリラ豪雨の際にアンダーパスに嵌まり、生死を彷徨ったという事例は珍しくはない。ただ国道を普通に走行していたら、いつの間にか川を下っていたという現象は、超常現象を超えて完全にイリュージョンである。軽自動車でラフティングってのは普通じゃ考えられない。 スターどっきりマル秘報告で錦野旦氏を引っ掛けるにしても、あまりの大仕掛で予算的に実現不可能な難題だ。軽自動車でラフる、これを意図も簡単にやってのける線状降水帯の威力は想像するだけでも空恐ろしい。何も知らないでスタンバる旦氏。奥吉備街道には通行止のニセ看板。 |
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◆峠名ともなった畑ヶ鳴集落に至る小径との分岐点 迷わずR484へ進入。勿論併走する川は増水し、やがて川か道か判然としなくなる。どうなってんのコレ?と異変に気付くも時既に遅し。助手席には何故かパドル。空に太陽がある限りのイントロが流れるも、ちょっと!と車内に怒号がこだまする。 尤もメインは軽自動車の爆破なので、パドル一本で凌ぎきる氏の奮闘ぶりとかどうでもいいのですが、改めてスター錦野の潜在能力の高さというか伸び代には驚かされるばかりで、旦のお変路なる番組を望むのは僕だけではあるまい。 畑ヶ鳴峠9へ進む 畑ヶ鳴峠7へ戻る |