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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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若松峠(4) ★★ |
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若松峠(わかまつとうげ)の取扱説明書 若松峠、市販のどの地図を広げてもそのような名称は刷られてはいない。勿論国土地理院1/25000スケールも例外ではない。北海道の峠を網羅する三浦宏氏のリストからもその名を拾い挙げる事は出来ない。果たして若松峠なるものは実在するのだろうか?答えはYESだ、それも国道の峠である。恐らく多くの者が気付かぬうちに素通りしている。僕もその一人だった、ある古写真を見るまでは。トンネルあるとこ旧道アリ、若松峠は道路業界の原理原則を再認識させてくれる尊い存在で、日常的に行き来する道にも何がしかのエピソードが有る事を教えてくれる。また煮ても焼いても食えなさそうな雑魚も調理次第でどうにでもなる案件で、取り扱う者の腕が試されるデリケートな物件でもある。だが若松峠から目を逸らす事は出来ない。太櫓越へのトライアル的立ち位置から、道路業界に身を置く者として避けては通れない。今宵知らないようで知っている若松峠の今昔を徹底追求する。 |
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◆緩急を繰り返すも基本的にはきつい勾配の路が続く あそこは昔からトンネルじゃった ちょっと待ってちょっと待って御爺さん! 若松トンネル説明してね♪ トンネル坑口の銘板には1973年12月と刻まれている。確かに半世紀近く経ているので昔と言えば昔だが、僅か45年前の代物、しかも見た目も近代的なトンネルを指して“昔から”という物言いはどうにも腑に落ちない。どこかに先代が眠っているという事なのだろうか? |
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◆山道は全般的に人口物を捉える事が出来ない 昔のトンネルは今のに比べて一回りも二回りも小さくての、中で擦れ違いは出来んかった。それに夏はいいんじゃが、冬は車が越せれんでの、馬橇で越していた。 旧若松隧道ってか?どこだ! どこにある?初代の車道らしき道筋の発見に少なからず興奮を覚えていた僕であったが、寝耳に水の二代目の存在を示唆する古老談にいつになく鼻息は荒い。この山中のどこかに現トンネルと山道の架け橋が息を潜めている。 |
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◆路盤路面共に想像以上にすこぶる安定している 昔のトンネル、そいつは若松越えの旧隧道に他ならない。若松峠は鞍跨ぎの古道から一気に近代的なトンネルに切り替わった訳ではなかった。峰越え狭隘山道とコンクリトンネルの間には、先代にして初代の古隧道が存在したのだ。 親子三代に亘る車道峠の変遷 御覧の通り山道は幅員といい勾配といい真っ当な車道規格にある。但し一般車両の通行を許すか否かという点で、きつ過ぎる勾配は若干割り引いて考える必要がある。山道の現状とフルスペックの現車道には道路規格に大きな隔たりがある。 |
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◆倒木等の障害物がきちんと取り除かれた痕跡を確認 古老の証言は両者の乖離を埋めるに十分な説得力を持つ。現在のトンネルは昭和48年製である。従って今日供用されるトンネルと何等遜色ない設備を備えている。対して鞍跨ぎの山道は通行車両を選ぶ特殊な車道で、ガードレール一つ備わらない不親切な路は、関係車両以外考慮しない林道のそれに似ている。 当山道は物理的に自動車の通行は許す、但し小型車、四駆限定など車種は問う。この一般道の概念を逸脱した路に対する率直な感想、それはズバリ・・・馬車道だ。平成の世に於いては全く通用しない山道、それが馬車道とあらば必要にして十分なフルスペックと言えまいか。 |
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◆曲率半径10m弱のヘアピン&急勾配のきついコーナー 見てくれ、この180度ターン&勾配のきつい坂道の未舗装路を。誰がどう見ても一般に供する路ではない。もしもこれが先代だとしたら大変だ。昭和48年のトンネル開通時までこの道の上り下りを強いられていたとしたら、物資の輸送は長期間に亘り滞り、太櫓越以上のボトルネックになっていたはず。 だが実際にはそうはならなかった。当路線最大の障壁はあくまでも太櫓越であり、若松越は通行に支障を来す障害物にはならなかった。古老談話にある初代若松隧道がそれを阻止したのだ。恐らく昭和48年の暮れまで活躍したであろう古豪は、早ければ昭和黎明期、遅くとも戦後間もなくの竣工と察せられる。 |
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◆大方は見通しが利かず離合箇所は極めて少ない 戦時中、或いは終戦直後の竣工でも30年選手のベテランであるから、昭和48年のトンネル切替は極めて妥当な選択だ。先代が素彫りや鉄筋無しの粗悪なコンクリ隧道であったとすれば、内部離合不可の時代遅れの規格も相俟って、ゼロベースで新設すべしの判断は合理的である。 若松越に二代目の峠道にして初代の隧道があったとすれば、現行の大型バスも行き来出来たであろうし、峰越路は大型車が登れんのじゃね?という僕の見立ても間違っていない事になる。問題はその二代目がどこにあるかだ。これに関しては残念ながら悲しいお知らせをせねばならない。 |
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◆沢が路を横断する為常に湿気を帯びる脆弱な待避所 昔のトンネルは壊しちゃったさ。そこに今のトンネルを造ったのさ。 上書きされ粉砕した旧若松隧道 全く以て残念無念としか言い様がない。このがっかり感は総理の椅子に目が眩み、自分ファーストの果てに自滅したどっかの知事に似ている。目視による親子三代の確認は叶わない。ならば是が非でも初代だけは完踏を目指さねばなるまい。 若松峠5へ進む 若松峠3へ戻る |