|
教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
|
|
トップ>廃道>北海道>大岸峠 |
|
|
大岸峠(15) ★★★★★ |
|
|
大岸峠(おふけしとうげ)の取扱説明書 北海道新幹線開業のニュースが世間の耳目を集めているが、JR北海道が入念な最終チェックをしている時分に、僕は最初で最後の一大プロジェクトに取り組んでいた。猿留山道及び雷電山道と並び蝦夷地三大難所に数えられる礼文華山道の完全制覇である。単車による走破、それも豊浦から長万部まで全て旧道を伝い、しかも半日で一気に駆け抜けるという壮大且つ無謀な試みで、計画の段階で大岸⇔豊浦間が最大の懸案事項と目された。海のものとも山のものとも分からぬ未踏区は、難易度は高いが攻略出来なくはない。出足平峠・豊浜洞・湯内峠の長大山道以来の大長編スペクタクル第一弾、オフケシ峠の衝撃・今宵解禁。尚今度こそR8での峠越えを立証すべく最善を尽くす。下町ロケットアウディ計画トラストミー編、始まります。 |
|
|
|
◆浅藪区と激藪区を隔てる設置して間もないU字溝 ワ〜オッ! 5m幅に及ぶ元待避所らしき膨らみ辺りから感じていた違和感の正体が、隧道の直上付近で遂に判明する。足元に潜む異物の正体、それはかなり直近に設けられたであろう雨水の導線、所謂側溝であった。 覆い被さる雑草に隠れて判然としなかったが、明らかな人工物が進行方向右手の法下に横たわっていた。落ち葉の受け皿となり機能不全に陥ってはいるものの、久しく白日の下に晒されたU字溝の存在感はピカ一だ。 |
|
|
◆側溝を境に激藪の大海と路線環境は一変する ほぼ純白に近い側溝はここ数年内に設置されたものと察せられ、近年この付近で大掛かりな工事が実施されたのは明白だ。それが新設なのか刷新かは分からない。しかしここに至る過程でまともな人工物を拝んでいない事から、前者であろう事はほぼ間違いない。 現場は落石防護壁を設けた隧道坑口の真上に位置し、それに付随する工事であったと考えるのが自然だ。その際工事車両は当山道を伝って現場入りし、直近にある5m幅の膨らみが折り返し地点であったと想像される。何故そう言い切れるのか?それは側溝の前後で路の状況に雲泥の差があるからだ。 |
|
|
◆人一人分の空間があるが実態は完璧な藪塊となっている 恐るべき事に側溝より先は人一人分の空間があるのみで、辛うじて四輪一台分の空間が続いていたここまでの環境とは劇的に異なる怪しい状況を呈している。人一人分の空間は少々言い過ぎで、事前に藪を刈り払わねば藪壁に阻止される完全なる異空間といった方が正しい。 人一人分の空間さえ確保されぬ藪の大海、正確を期せば側溝より先はそういう表現に落ち着く。更なる前進を試みる為に意図して1m幅の空間を設けたまでで、藪に一切の手を加えず突っ込んだならば、人跡未踏の道無き道を踏破しているのか、或いはただ単に遭難しているのか分からなくなるほどだ。 |
|
|
◆倒木の姿を晒す為に前後一帯を丁寧に刈り払う 目の前の藪を適当に刈り払う事で辛うじて道跡と分かる程度で、それを怠れば前進もままならない深い藪に閉ざされている。そこではっきりとしたのは数年前の一時期は現場まで作業車が日常的に行き来し、一般林道並みの仕様にあったという事だ。下手こくと普通車で往来可能な状態にあったかも知れない。 それと同時にその時期も現場より先は全くの手付かずであったという事だ。側溝より先のほぼ完璧に道跡が失われた現況がその証左だ。更なる前進を試みるにあたりある程度の開削を覚悟しなければならない、また引き返すならそこが最終地点という点で、側溝はターニングポイントと言っても過言ではない。 |
|
|
◆ここでの倒木解体は結構な作業量でヘロヘロになる 事実激藪道に突っ込んで10分と経たずして、長時間の滞留を余儀なくされる倒木ポイントに差し掛かる。思い返せば側溝現場まで手を焼かせるような障害物は皆無であった。落石も数箇所にまとめられる形で、何等かの形で人の手が介在しているのは明らかであった。 しかし側溝より先は環境がまるで異なる。歩行者さえ行き来しない完全に閉ざされた別世界で、そこには一切のタイヤ痕が見当たらないのは勿論、人間のものと思われる足跡さえ見付からない。通常の山林であればあるはずの人が分け入った形跡が一切認められないのだ。 |
|
|
◆道中は常に激藪という訳ではなく浅藪区も認められる 理由は単純だ。ここに至るアプローチが長過ぎるからだ。山菜採りで来訪した者の多くは噴火湾PAの裏手から徒歩移動を強いられ、どこまで続くか知れない車道か否かも判然としない山道に慄き、どこかで見切りを付けて引き返すのがオチであろうし、側溝現場まで辿り着いたとしてもタイムアウトでリターンだ。 単車で突っ込むにあたり経験豊富な林道ライダーであっても、先不透明なカーブ毎の一定の恐怖&緊張感は免れないし、ビビリパワー炸裂の初心者は果てしなく続く浅藪のどこかで精神的に耐えられなくなって引き返すのがオチだろう。どうにかこうにか側溝現場までやってきた者も二の足を踏むに違いない。 |
|
|
◆浅くもなく深くもない適度な藪区は刈らずに突き進む だからこそ今日まで当山道が公然に語られる事はなかったし、その全貌が詳らかとなるレポートも世に出る事はなかった。撤退の憂き目に遭う決定的な場面までのアプローチが長過ぎる、これは般ピーにとって致命的なマイナスポイントになる。 ところが僕にとって長いアプローチはプラスポイントでしかない。手を煩わせない浅藪区が長ければ長いほど、実際に藪を刈り払う距離は短くて済む。プラス思考にも程があるとお叱りを受けそうだが、そうとしか思えないのだから仕方ない。 大岸峠16へ進む 大岸峠14へ戻る |