|
教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
|
|
トップ>廃道>北海道>大岸峠 |
|
|
大岸峠(13) ★★★★★ |
|
|
大岸峠(おふけしとうげ)の取扱説明書 北海道新幹線開業のニュースが世間の耳目を集めているが、JR北海道が入念な最終チェックをしている時分に、僕は最初で最後の一大プロジェクトに取り組んでいた。猿留山道及び雷電山道と並び蝦夷地三大難所に数えられる礼文華山道の完全制覇である。単車による走破、それも豊浦から長万部まで全て旧道を伝い、しかも半日で一気に駆け抜けるという壮大且つ無謀な試みで、計画の段階で大岸⇔豊浦間が最大の懸案事項と目された。海のものとも山のものとも分からぬ未踏区は、難易度は高いが攻略出来なくはない。出足平峠・豊浜洞・湯内峠の長大山道以来の大長編スペクタクル第一弾、オフケシ峠の衝撃・今宵解禁。尚今度こそR8での峠越えを立証すべく最善を尽くす。下町ロケットアウディ計画トラストミー編、始まります。 |
|
|
|
◆丈が足首程度までしか届かない緑の絨毯が続く 豊泉⇔豊浦の旧道=大曲 この藪道はトンネル連発の現国道が成立する以前の路、その仮説が正しいとすれば何等かの呼称があって然るべきだが、そのような名称は地図に未掲載で聞いた事もない。しかし現場にはこれ以上ない遺留品が残されていた。 大曲停留所、この何の変哲もない名称が知的好奇心を煽る材料になろうとは、このジャンルに全く興味のない人種には想像も付くまい。敢えて峠と謳っていない点が道路探求心を大いに擽るではないか。 |
|
|
◆岩壁を回り込むように90度以上の鋭角で折れ曲がる 現在の国道の経路は見通しの利かないカーブが主体で、ドライバーにとっては気の抜けない区間が続く。但し減速を強いられる急カーブは皆無に等しく、概ね直線で構成される登坂車線も完備している事から、車両は一定のスピードを保ったまま駆け抜ける事ができ、大曲とは程遠い線形にある。 豊泉⇔豊浦間の実態は高速巡行が叶姉妹である。にも拘らず豊泉隧道を抜け出た瞬間に待つ停留所には大曲と刷られている。一体全体何なんだこの乖離は?そのギャップを埋める方法がひとつだけある。改修以前の路が本格的な山岳道路であった場合だ。 |
|
|
◆ヘアピンに近い急カーブの前後で眼下に現道を捉える ブロロロローン! 今度はきっちりと対象物を捉えた。拡大すればナンバーさえ読み取れる車両は高速で移動する大型トラックで、これで一定の距離を隔て付かず離れずで国道と藪道が併走しているのはほぼ確実となった。 山道は国道の遥か頭上を掠めており、こちら側から国道の様子を窺い知る事は辛うじて叶うも、国道上から藪道の状況を把握するのは不可能である。そりゃぁどんだけ脇見運転したところで見付かりませんやねぇ。 |
|
|
◆このショットには明らかな人工物が映り込んでいる 当山道は既に幾度かの反転を繰り返している。流石に180度ターンするようなヘアピンに等しいカーブは無いものの、90度以上の鋭角で折れ曲がる急カーブは複数箇所に及ぶ。見通しの利かない急カーブの度に舞台は静寂に包まれ、下界からは物音ひとつ聞こえてこない。 察するに山道が襞を回り込むまさにその時、下界では国道が穴蔵に潜り込んでいるのではないかと。山道が反転に等しいコーナーを描く襞そのものが新道の障害物となり、新道敷設の際はそいつを除去するのではなく、短い隧道を穿つ事で難題を克服したのではないかとの推測が成り立つ。 |
|
|
◆コンクリート製の電柱が一本のみ佇んでいる 山道の急カーブと国道の短隧道は対を成している。山道上の折れ曲がるに等しい急コーナーでは、待てど暮らせど現国道のノイズは聞こえてこない。何故か?それは車両が地中を這っているからだ。山襞の全てをトンネルで克服したとなれば、最低でも山道の反転箇所は三箇所に及ぶはず。 高岡第一から連続する三つの隧道が、山道の難所に呼応する形で存在するに違いない。だとすれば大曲というバス停の存在も頷ける。その昔は対向車さえ窺い知る事の出来ない急カーブが連続するドライバー泣かせのクネクネ道であったとすれば合点もいく。 |
|
|
◆今のところ山道上に目立った障害物は見当たらない しかもその道筋が山肌を丁寧になぞる旧態依然とした山道であるならば、線形は基本的に直線とは無縁の蛇行路であり、ドライバーは絶えず右へ左へとハンドルを切らねば前へ進めない設計では、大曲と呼ばれるようになったとしても致し方ないし、経緯としては何等不自然ではない。 昔昔の大昔、今のようにトンネルの無い時代は、対向車が現れる毎にドキッとし、その都度どちらかが待避所までバックしやり過ごしていた。最小幅員が3m前後と狭い山道からはそのような惨状が読み取れるが、そげな使い勝手の悪い路線が国道37号線を名乗っていたというのは俄かには信じ難い。 |
|
|
◆かつての離合箇所は堆積した土砂で埋め尽くされている 国道37号線自体は長万部と室蘭を結ぶ短い国道であるが、その前後は函館及び苫小牧を結ぶ事実上の長大路線であり、観光色の強い北回りに対する南回りルートは、北海道経済上欠く事の出来ない道内屈指のビジネス路線である。 盤石な基盤が築かれて久しい超の付く重要路線の一時代前の姿がこの惨状だとすれば、こんな滑稽な話はない。ビジネスどころか走破するだけで日が暮れてしまい、肝心な取引及び売買は不成立に終わってしまう勢いに開いた口が塞がらない。 大岸峠14へ進む 大岸峠12へ戻る |