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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>大岸峠 |
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大岸峠(9) ★★★★★ |
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大岸峠(おふけしとうげ)の取扱説明書 北海道新幹線開業のニュースが世間の耳目を集めているが、JR北海道が入念な最終チェックをしている時分に、僕は最初で最後の一大プロジェクトに取り組んでいた。猿留山道及び雷電山道と並び蝦夷地三大難所に数えられる礼文華山道の完全制覇である。単車による走破、それも豊浦から長万部まで全て旧道を伝い、しかも半日で一気に駆け抜けるという壮大且つ無謀な試みで、計画の段階で大岸⇔豊浦間が最大の懸案事項と目された。海のものとも山のものとも分からぬ未踏区は、難易度は高いが攻略出来なくはない。出足平峠・豊浜洞・湯内峠の長大山道以来の大長編スペクタクル第一弾、オフケシ峠の衝撃・今宵解禁。尚今度こそR8での峠越えを立証すべく最善を尽くす。下町ロケットアウディ計画トラストミー編、始まります。 |
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◆広場より先も四輪のもと思われるタイヤ痕が認められる まだ行ける、そう確信させたのは刻まれて間もない生々しい四輪の轍跡で、広場の直後にある窪地の水溜りには鮮明なタイヤ痕が残されている。広場で転回している車両もあれば、更に奥へと突っ込んでいる車両の存在が認められ、ここで引き下がる訳にはいかない。 イタドリの一部が路上に覆い被さり本来あるべき幅員を狭めているが、実際は普通車クラスでも往来可能な道幅が担保されていて、ボディの擦り傷さえ気にしなければまだまだ前進出来る余裕がある。ただこの膨らみが最初で最後の転回場所かも知れず、四輪のドライバーは一定の覚悟が必要だ。 |
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◆噴火湾展望台や噴火湾PAよりも上をいくスーパービュー 広場より先は四輪車だとドキドキものだが、その不安を一掃させるダイナミックな風景がドライバーの視界に飛び込んでくる。豊浦市街地と噴火湾を一望にするスーパービューがそれだ。金網越しというマイナスポイントを割り引いても、この景観は一見の価値がある。 噴火湾展望台からの眺望もなかなかのものがあったし、噴火湾PAからの眺めもそれ相応の感動を得られるに違いない。それらを上回るとまでは言わないが、般ピーが拝めないプレミアム感と独り占めしているところが贅沢の極みで、記憶に残るワンシーンとなったのは言うまでもない。 |
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◆片方のタイヤ痕が覆い隠されシングルトラックと化す もう少し丁寧な刈り払いが成されているならば、間違いなく現場は知る人ぞ知る隠れスポットになっただろう。藪を除去して道端に東屋のひとつでも設ければ、ちょっとした展望台として口コミで広がるかも知れない。しかし現実には御覧の様な有様で、シングルトラックのみの極限状態と化している。 本来は足元にダブルトラックが認められるはずなのだが、植物の勢いが激しく進行方向右側の筋を雑草が完全に覆い隠している。この状態で四輪が突っ込んだ場合、いかなる車両もガリガリ君は免れない。四輪の轍跡ははっきりと認められる。だが現実として四輪の通行は限りなく不可能に近い。 |
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◆高速道路との境界壁が消え失せた地点で藪道と化す 草刈機でも持参すれば話は別だが、最早手刈りでどうこうというレベルにない。従って趣味で突っ込むにしても、四輪だと相当な覚悟が必要なほど現場は劣悪な環境にある。それが決定的となったのが道路公団が設置した金網が視界から消え失せた地点で、付近一帯は一瞬にして密林の様相を呈す。 けしてノーメンテという訳ではない。仮に人の手が一切入っていないとすれば、この程度で済むはずがない。道路と山林の境界が曖昧ではあるが、路面は浅藪にて一定の空間を保っている。いつの頃かは定かでないが、一時期この道を自動車が往来していたのは間違いない。 |
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◆緩やかな左カーブで90度折れ曲がる藪塗れの道 何故そう言い切れるのか?それは視界前方に聳える斜面の木々が根こそぎ伐採されているからだ。伐採直後であれば切り株が目立つ地肌丸出しの斜面が視界に映るはず。ところが現場は御覧の通り斜面全体がびっしりと若木と雑草に覆い尽くされ、森林への回帰が始まっている。 昨年なのかそれとも一昨年なのか、はたまた三年も四年も前なのかは定かでないが、現場からトラックにて丸太が運び出されたのは確実と言える。木の種類や生育具合によっても異なるが、切り出しは20〜30年スパンで行われる。その間道路は自然の成すがままに放置される。 |
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◆木材搬出時に転回場所として使われたと思われる広場 枝打ち等の保守管理を理由にメンテされ続ける道も中にはあるが、管理費も馬鹿にならず不採算を理由に進入路が放置されるケースもある。大木になった頃を見計らって道を整備した方が効率が良く、普段は荒れるに任せ必要とあらば切り拓くというのは合理的で、日常が廃道同然という山道は少なくない。 この道も今後20〜30年の間は放置プレイは必至で、材木満載の大型車が遺した轍跡は全体的に薄まりつつある。ただひとつだけ確実に言える事は、この山道が不必要な道ではないという事だ。いつかまた必要に迫られ拓かれる日が訪れる。それまで生かさず殺さずで供用されるのだ。 |
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◆第二広場以降路は完全なるシングルトラックと化す 藪道の先でちょっとした広場に出くわす。第一広場よりも一回りも二回りも狭い膨らみは、木材を搬出する際の転回場所として利用されていたのであろう。そこで何度も車両が切り返し地盤が固いせいか、植物が根付けず地肌丸出しの部分がある。 その膨らみを最後に路はいよいよ完璧なシングルトラックと化す。正確を期せば一条の轍さえ刻まれぬ藪の大海が待ち受け、イタドリとその他大勢の雑草が鬩ぎ合う僅かな隙を突いて身を投じねばならぬほど環境は激化する。 大岸峠10へ進む 大岸峠8へ戻る |