教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜

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大岸峠(5)

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大岸峠(おふけしとうげ)の取扱説明書

北海道新幹線開業のニュースが世間の耳目を集めているが、JR北海道が入念な最終チェックをしている時分に、僕は最初で最後の一大プロジェクトに取り組んでいた。猿留山道及び雷電山道と並び蝦夷地三大難所に数えられる礼文華山道の完全制覇である。単車による走破、それも豊浦から長万部まで全て旧道を伝い、しかも半日で一気に駆け抜けるという壮大且つ無謀な試みで、計画の段階で大岸⇔豊浦間が最大の懸案事項と目された。海のものとも山のものとも分からぬ未踏区は、難易度は高いが攻略出来なくはない。出足平峠・豊浜洞・湯内峠の長大山道以来の大長編スペクタクル第一弾、オフケシ峠の衝撃・今宵解禁。尚今度こそR8での峠越えを立証すべく最善を尽くす。下町ロケットアウディ計画トラストミー編、始まります。

 

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◆平成4年竣工の新旭橋より豊浦駅を望む

国道と見間違う二車線の快走路は、函館本線と並走する形で豊浦駅へまっしぐらに突き進む。その途中には平成4年竣工の橋があり、旧道が現代規格に改められたのは平成の始め頃である事が分かる。当然ながら改修以前は一回りも二回りも狭く、歩行者専用通路も設けられていなかったに違いない。

それでも狭いながらインチキ二車線幅をキープしていたであろうし、橋だけは余裕ある幅員というケースは珍しくないので、それなりの規格であったと思われるが、今となっては以前の状態を想像するより他ない。と思っていたら銘板には新旭橋と刷られているではないか。

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◆新旭橋と並走する形でベンベ川を跨ぐ旧旭橋

そして川下に目を移すと25m前後の距離を隔て、もう一本の橋が架かっているのを捉える。新旭橋の新とは旧橋に対する新橋という意味なのであろうか。それであれば現在の橋が成立する以前は下手の橋が本線であったとの解釈が自然だ。しかしながらその橋の容姿は余りにも地味過ぎる。

橋のショボさは一級品で桁違いにみすぼらしい。ベンベ川を跨ぐ二本の橋が親子関係にあるのはほぼ間違いないが、平成初期まであの草臥れた橋一本で賄っていたのかと思うと泣けてくる。曲りなりにも今辿っている道筋は一時代前の本線で、下手の橋が純粋な旧橋という事になればかつての国道という事になる。

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◆駅前に通じる路の肩書は道道701号美和豊浦停車場線

当時の国道は踏切も狭かったが橋も狭かったとなると、その時代に日常的に国道を行き来するドライバー諸君は、それはもう大変な苦労を強いられたのではなかろうか。現在は大型車の相互通行を許す二車線の快走路で駅前に達しているが、その昔は裏路地に等しい狭隘路の通行を余儀なくされたのだ。

昔の国道が目指す豊浦駅は二階建ての立派な駅舎で、往年はかなりの賑わいをみせたものと想像させるが、現在は飲食店が入居しながらも無人駅である点が過疎地を実感させる。当然駅前は閑古鳥が鳴く閑散とした状態で、商店街の多くはシャッターを閉じたまま沈黙を守る。

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◆かつての国道37号線は駅前で90度左に折れ曲がる

列車の到着時刻になると郊外からやってくる車がチラホラ現れるも、出発した途端に時が止まったかのように駅前は静まり返る。駅舎だけを切り取ればとても無人駅には見えないが、駅前全体の様子で言えば確かに豊浦という街は、近隣の都市部に比し相対的に僻地なのだと認めざるを得ない。

コンテナを改造しただけの陳腐な駅舎ならまだしも、このような立派な構造物を有する停車場が無人駅という所が行き詰まるアベノミスクの縮図のようで、糸の切れたタコの如しあてもなく彷徨い続ける我が国の行く末に、一抹の不安を覚えるのは僕だけではあるまい。

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◆駅前通りの多くがシャッターを閉めたまま沈黙を守る

維新の会が本当の意味での抜本的な構造改革に取り組んだならば、豊浦駅前のシャッター商店街も持ち堪えたのではないかと思えてならない。間もなくスイスで国民投票が成されるベーシックインカム、これこそが行き詰まる現代社会の構造を根底から覆す切り札であるのは言うまでもない。

マイナンバーにリンクして国民一人につき月額8万円の給付、凡そ年100万円が恒久的に保障される国家に生まれ変わるとしたら明治維新以来の革命となり、我々現代人は間違いなく日本の大転換期の目撃者となる。永年の最低保障が約束される事で、出産・子育ても安心して出来るに違いない。

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◆二車線の旧国道は海岸へ向け高度を下げ続ける

年百万が空から降ってくると皆が働かなくなると危惧する声が聞こえてきそうだが、それは杞憂に終わるだろう。何故ならば年収100万円で満足する国民など極一部に過ぎず、大方はそれ以上を望むから労働意欲が失われる事はない。それよりも一芸に秀でる者が喰う為に稼ぐ無駄な時間が省けるメリットは大きい。

例えば羽生君や錦織君が喰う為に練習時間の半分を皿洗いに割かねばならなかったとしたら、世界の頂きへ上り詰める事が果たして出来たであろうか?各自の得意分野に可能な限り時間を割き、全神経を己の武器一本に集中し磨きをかける。それを可能にするのがベーシックインカムだ。

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◆旧道沿いには一般住宅や商店等がびっしりと建ち並ぶ

ありとあらゆる分野の世界で通用する人材がわんさか出現するのは想像に難くない。このまま私利私欲の官僚任せで座して死を待つか、それともより良い国創りを目指し明治維新以来の改革を成し遂げるのか、我々一人一人の志が問われている。

ここ北海道は試される大地と言われて久しいが、列島全体の真価が問われているのは言うまでもない。日本の盛衰は我々現代人の意志一つに懸かっている。国民総百万円クレヨパトラのデモ行進に参加したいと思うのは僕だけではないはずだ。

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