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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>太櫓越峠 |
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太櫓越峠(10) ★★★★★ |
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太櫓越峠(ふとろごしとうげ)の取扱説明書 渡島半島の東側を南北に走る海岸線は、我が国で五番目に重要な路線にして、北海道随一の幹線である事に異論の余地はない。その東海岸線を陽とするならば、瀬棚と江差を結ぶ西海岸線は陰となる。山陽道と山陰道の例を出すまでもなく両者の交通量には決定的な差があり、結果開発は遅々として進んでいない。事実これより挑む山道は昭和の晩年まで直に鞍部を跨いでいたし、鉄道は今も昔も西海岸線を走破した試しがない。結果太櫓越山道が唯一の生命線となる訳だが、山道に注がれた先人の血と汗の結晶は、トンネル開通後も極上の峰越フラットダートなる副産物を齎す。その恩恵に授かったドライバー&ライダーは少なくない。走破済という経験則から今度こそR8での峠越えを立証したい。下町ロケットアウディ計画起死回生編、始まります。 |
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◆幅員は軽自動車サイズで安定し頭上も大きく開ける 一時的に徒歩道サイズにまで縮小した山道は、ギリギリで軽自動車が行き来出来る幅員まで盛り返す。僕の記憶が確かならばあの当時は峠区のほぼ全てがこれに毛が生えた程度で済んでいたはず。少なくともその場に留まり手を煩わせるような致命的な障害は無かった。 でなければ小一時間で太櫓越を完踏出来るはずがない。倒木除去に刈り払い、それに亀裂の穴埋め作業など、頂上から歩いて3分程度の地点で既に30分以上が経過しており、ゴールとなる現道との分岐点までの距離を逆算すると、とてもじゃないが日没までには間に合わない。 |
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◆ハイキングコースと見間違うほど芝生状態の小奇麗区 足元は公園の芝生の如し手入れが行き届いており、今も何者かの手によって管理されているのは明らかだ。それでいてのっけからあの決定的な亀裂であるから、現在は歩行者専用通路であるのは疑う余地がない。峠の広場に車を停めて、そこからは徒歩移動となるのであろう。 年に数回或いは月一ペースで関係者が訪れているにしても、利用者の大多数はこの辺を根城に徘徊している野生動物で、人間が管理している道とはいえ、当山道は事実上の獣道と言っても過言ではない。僕のような通りすがりのゲストを含め、定期的に訪れる者も彼等にとっては珍客に過ぎない。 |
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◆ちょっと油断するとこうなるという見本のようなプチ廃道 刈り払われた通路は大人しくしている箇所もあれば、再び勢力を拡大せんと猛威を振る箇所もある。葉先や穂先が揃っていれば人工物のように映る緑の壁も、好き勝手に生えまくりいよいよ統制が取れなくなると、その姿は僕が散々目にしてきた廃道そのものである。 しかしこの程度で導かれるのであれば天下泰平である。ハイキングコースと思ってみると怪しさ満点の路であるが、鼻から廃道と思ってみると楽勝コースにしか映らない。この状況を脅威と感じる度合いは人それぞれであろうが、少なくとも僕にとってこの状況は一般林道と何等変わらない。 |
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◆徐々に雑になってはいるが人為的に刈り払われている ちょっとでも手入れを怠ると自然は容赦なく空間を閉じようとする。隙間さえあれば自身の勢力を拡大し、無駄な空地を埋めようとする。ワンシーズン放置するだけでやる気を削がれる程植物で満たされるのが常だ。一度緑の楽園と化すと常人の感覚ではなかなか手に負えない。 藪を掻き分けて入山する者はいても、藪を丁寧に刈り払って入山する者はいない。ましてやある程度の余白を設けて刈り払うなど狂気の沙汰である。利尻富士や羊蹄山のようにそこそこの登山者がいて、羆との遭遇率が極めて低いのであれば、個人がボランティアで拓く意味もあろうが、ここには大義名分がない。 |
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◆待避所跡らしき膨らみも丁寧に刈り払われている 年間を通じて基本的には誰も来ないし、凶暴熊が出没するデンジャラスゾーンである。誰が好き好んでこのような僻地で週末毎に刈り払いなどしようか。しかし現にこうして現場は見通しが利く状態が保たれている。ちょっとしたメンテナンスで四輪が行き来出来なくはない好環境を維持している。 以前通過した際もこの程度は保たれていたから、あれ以降も継続して刈り払いが成されていた事になる。受益者が自身の責任に於いて最低限の通路を確保するという常識を以てしても、それに便乗している身としては申し訳無さと有り難さに加え、愛しさと切なさと心強さと何とも複雑な心境だ。 |
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◆亀裂さえ補修すれば四輪での踏破は物理的に可能 恐らく過去に離合箇所で使われていたであろう膨らみが、生卵を丸呑みした大蛇の如し容姿で地面が露出している。もう何十年と四輪は入って来ていないであろうから、それでいてわざわざ大きく余白を取っているという事は、山仕事のおいちゃん達の休憩場所になっているのかも知れない。 確かに1.2〜1.5m幅の狭い通路が延々と続いているだけで、頂上以降道中に安息の地は無いに等しい。基本的には誰も来ないのだから山道のど真ん中にシートを広げて休憩すれば良いと思うのだが、来訪者が突然現れないとも限らないから、少々遠慮しての事なのかも知れない。 |
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◆少々きつめの左カーブで山道は別の谷へと回り込む 頂上以降天下り一辺倒の山道は左へ左へと大きく回り込み、太陽の位置から察して完全に明後日の方向を向いている。ほぼ180度反転したようなもので、谷間の左手を下っていたのがいつの間にやら別の谷の右側を伝っている。 今の所下り始めの亀裂以外に目立った障害は見当たらない。環境は以前通過した際の印象と非常に似通っていて、このまま勢いで押し通せそうな感じがしないでもない。だが便乗区間の終わりは確実に迫っていた。 太櫓越峠11へ進む 太櫓越峠9へ戻る |