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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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花石峠(16) ★★★★★ |
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花石峠(はないしとうげ)の取扱説明書 花石と聞いてすぐに北海道は道南の今金町のあの花石か!と思い浮かぶとしたら、余程の北海道通か当地生え抜きの人間に限られる。しかも花石峠の存在自体を認識しているとなると、もうその時点で廃道コンシェルジュを名乗ってもいい。何せ廃道仙人掘淳一氏率いるコンターサークルSが徒歩による縦走にも拘らず断念せざるを得なかった重鎮御墨付の強烈廃道である。廃道スナイパーの狙撃対象としては申し分ない格好の題材だ。現状を想像するだけでも武者震いするが、ターゲットは美利河峠の終点である花石郵便局から目と鼻の先に位置する。美利河峠の今昔を白日の下に晒した今、返す刀で花石峠を攻略しない手はない。美利河と花石の二部構成による後編の作戦名は、下町ロケットガウディ編に便乗しアウディ計画とする。アウディR8でどこまで突っ込めるのか?その辺も見極めつつ全貌を解明すべく侵攻を開始する。 |
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◆第三ヘアピンを回り込んだ先も山道は藪に包まれている 第三ヘアピンを曲がり終えた時点で、藪道に大きな変化は無い。相変わらず路面はびっしりと笹に覆われており、頭上の空間を頼りに道跡を追うのがやっとである。しかし日陰と日向の差なのであろうか、ヘアピンの裏と表では決定的な相違が認められた。それが藪密度である。 御覧の通り山道の続きは延々と藪に包まれている。しかし足元に意識を集中すると、枝葉の隙間に地肌が垣間見える。それは明らかに藪密度の低下を意味する。笹は満遍なく地表を覆い尽くしてはいるが、隙間だらけで単車の通り抜けをあっさりと許す上に、落石や倒木などの障害物の発見は容易だ。 |
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◆藪密度は著しく低下し路面の様子は把握出来る 現場は拍子抜けするほどの浅藪となっていて、丈も腰くらいまでに止まり見通しも利く。また根曲竹のような脅威は確認出来ない。黒い魔物との遭遇以上に道が途切れているという懸念もあったが、それも杞憂に終わった。警戒態勢は高レベルから低レベルへと一気に引き下げられた。 当山道が明治43年に乗合馬車が疾走した馬車道である事はほぼ確定しているが、大草原の第三ヘアピンの前後では我々に与える印象度はまるで異なる。ここに至る過程は峠まで北電の関係者が、それ以降も林業関係者の出入りが認められ、古道臭というものは全くと言っていいほど感じられなかった。 |
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◆木々の隙間に上ハカイマップ川と花石道路の姿を捉える 単に未舗装林道を走っているに過ぎず、明治の馬車道と今この瞬間も供用されている路線とのギャップの激しさに、どこか消化不良に陥っている自分がいた。経路としては間違ってはいない。しかし整備され過ぎていて何だか腑に落ちない。現役の路線と明治道はどうしてもイコールにはならないのだ。 ただ第三ヘアピンの表と裏で心象はまるで違う。今やパンシロンを飲んだかの如し消化不良は瞬く間に解消され、気分はいつになくすっきりとしている。相変わらずの藪で現況は穏やかではないが、廃道然とするその哀れな姿こそが見捨てられた古道そのもので、明治新道の成れの果てが目の前に横たわっている。 |
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◆花石新道を爆走するトラックのノイズが旧旧道まで届く 第三ヘアピンを曲がった直後に聞き覚えのある爆音が耳に届き、木々の隙間に目を凝らすと舗装路を猛烈な勢いで大型車が駆け抜けて行く。現場の位置から察してあの二車線路は花石道路で間違いない。旧国道より稜線を跨いでかつて瀬棚線が通じていた軌道跡に達したのだ。北住吉は近い! まだ現道と旧旧道の高低差は50m以上もあるから油断は出来ない。これより明治新道が平成新道にどう詰め寄って行くのか見物ではあるが、物見遊山という訳にはいかない。第二ヘアピンの直前でタイヤ痕は途切れていて、第三ヘアピン以降は車両は当然として人が入り込んだ形跡が見当たらない。 |
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◆山道と谷底とは50m超の高低差があり油断は禁物 樹木伐採の際に第三ヘアピンまでは重機等で地均しをし、関係車両が入り込んだ形跡が認められるが、それ以降は全くと言っていいほど手付かずの状態で今に至る。見てくれ、この斜面をL字状にカットしただけの古典的な路の造りを。僕等がこれまでに散々目にしてきた光景と瓜二つである。 路の中心にこそ巨樹は根付いていないが、両脇から路の中心へ覆い被さるようにして斜めに胴体を伸ばす木々が目立つ。それらの枝葉はカットされておらず、四輪が通過するとなると直撃は免れない。例え人が徒歩で踏破するにしても、いちいち右へ左へと迂回せねばならない仕様になっている。 |
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◆腰より低い浅藪の御蔭で道径ははっきりと読み取れる 林業関係者が定期的に行き来するのであれば、枝葉等の障害物は取り除かれているはずだが、第三ヘアピン以降は荒れるに任せている。つまりそれは近年第三ヘアピンと着地点である北住吉の間を行き来する者はなく、最後の通行人が通り過ぎて以来山道がひたすら沈黙を守っている事を意味する。 木材切り出しの際に興味を持った作業員が入り込んだ可能性はあるが、それは偶発的な一過性の出来事であって、山菜採りや狩猟等の恒例行事としてここまで足を踏み入れた者は恐らくいない。何故そう言い切れるのかというと、下界からここまでのアプローチが余りにも長過ぎ、且つ危険であるからだ。 |
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◆障害物の多さが通行量が皆無に等しい現実を示唆する 確かにシムニークラスなら多少無理をすれば大草原の第二ヘアピンまでなら到達可能だ。だがそれは樹木の伐採と植林を目的に拓かれた極最近の事であり、ちょっと前までは頂上付近での引き返しを余儀なくされたという現実がある。 北住吉側の高低差も如何ともし難いものがあり、余程の事情がない限りこのような僻地へ分け入る者は稀だ。ましてやエンジン駆動車で突っ込むとなると狂気の沙汰で、明治新道敷設来初のガソリン車入場の可能性さえ否定出来ない。 花石峠17へ進む 花石峠15へ戻る |