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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>美利河峠 |
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美利河峠(10) ★★★★★ |
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美利河峠(ぴりかとうげ)の取扱説明書 ニセコ・ルスツ・トマム・・・北海道に於ける片仮名の三文字表記地名は?3秒前、2、1、Q!と行き交う者にいきなり投げかけると、必ずと言っていいほど返ってくるのがメジャースキーリゾートと相場は決まっている。そこにピリカの名を挙げる者はまずいない。道民の内外を問わずピリカってどこ?ピリカって何?というのが現実的な反応である。その影の薄さは道路的にも然りで、美利河峠越えを目的として国道を走る者は皆無に等しい。だがそれが単なるドライブやツーリングではなく、旧廃道の探索となると話は別だ。一般に美利河峠に古道筋は存在しないとされ、旧廃道に言及した記事を目にした試しはない。事実拡張に次ぐ拡張で形成された現在の峠付近に、並走する別ルートは実在しない。但しその前後には失われた切り通しを補って余りある長大路線が森の奥深くで息を潜めている。そこで目にしたのは道内各地に点在するメジャー物件に勝るとも劣らない涎もののレアな歴史道であった。完踏が叶わない絶望的な廃道の秘奥に見た超絶レア絶景と、辛うじて単車での踏破が叶う長大藪道の現況を余す事なく白日の下に晒す。 |
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◆反対側の進入路も凄まじい激藪に阻まれている 逆側からなら落橋現場まで単車で来られるんじゃね?と軽く考えていたが、反対側ものっけから凄まじい藪密度で全くお話にならない。藪を刈り払ってどうにかなるものならば問答無用で侵攻する。しかしここは激藪に加え倒木の数が半端無かった。こうなると勢いでどうにかなるものではない。 チェーンソーと草刈機の二刀流ならばこの障害をあっさりと撃破出来るが、残念ながら道具は剪定鋏と手鋸と鎌しかない。コンニャロ!コンニャロ!と始めは威勢良く刈り進むが、30分もすれば息が切れ、トシちゃんのコンサート同様一曲歌う毎に酸素吸入を余儀なくされる始末。 |
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◆軽く刈り払ってみても身動きが取れないこの有様 廃道一筋十余年、力技で藪を漕ぎ続けるには余りにも年を重ね過ぎた。エネルギーが有り余る無尽蔵の十代・二十代で仕留めるならいざ知らず、体力勝負の格闘技に参戦するデビュー時期としは完全に機を逸していた。40代のおばちゃんが衝動的にグラビアアイドルデビューしてしまったようなものだ。 同年代の般ピーよりは動けるという多少の自負と、藪漕ぎを日常業務としてこなす事での慣れとの合わせ技で、近年までどうにかこうにかやって来られたが、ここ最近はすぐに息が切れ体力の衰えは隠せない。息切れに加え動悸に目眩、寝る前の求心一杯は欠かせない。 |
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◆浅藪になったと思ったら今度は倒木やら灌木の洗礼 食える食えないの超低空飛行の自転車操業も御蔭様で十余年、出世街道を爆進する同期の話の種としてネタに事欠かない廃道芸人としての地位を確立し、あと少し頑張れば各地域の講演会に招かれ、武勇伝を語る事で食って行けると夢見る中年オジドルとはわたくしの事でございます。 今でこそ閲覧者を激怒させ一儲けする炎上ビジネスが蔓延っているが、無料で公開しておきながらレポート読むなら金払え、金払わねーなら見に来んな!と一喝し総スカンを喰らうサイトは珍しく、無知蒙昧の傍若無人ぶりが良くも悪くも人を惹き付けた結果、多くの人が集まり多くの人が去っていった。 |
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◆現道の暗渠から大量の山水が流出し湿地帯と化す 非常識さは止まる事を知らず、遂には百万円クレオパトラと化した。これを機に縁を切った人の判断は頗る正しい。ただ中にはクレイジーな護送船に飛び乗った者達が少なからず存在する。果たして彼等の行動は間違っていたのだろうか?その成否はこれからの行動如何にかかっている。 短期的に見たらORRの株価は大暴落したかのようにも映る。実際に瞬間的には取引が不成立となるほどの暴落であったろうし、ORRは終わったという見方も間違いではない。しかし株価は上がり続ける事も無ければ下がり続ける事もない。短期的には暴落であっても中長期的には一時的な乱高下に過ぎない。 |
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◆一見すると浅藪区間だが長靴がないと厳しい泥沼 資金ショート云々を言いだすとORRは開業以来常に枯渇している。逆手に取れば金が無いくせに常に行動している、これがORRの強みである。金になればやる、無らなければやらない、これだとインセンティブが無いので長くは続かない。ORRは金になろうがなるまいがやると言ったらやる。だから続く。 動機は単純だ。そこに藪があるからさ!正確を期せば元車道という条件付きの藪で、その辺の山林一帯を禿山にする気などさらさらない。僕にとってそれは単なる労働であるから、日当一万円程度の対価は要求する。しかし車道跡となると話は別だ。金はいらねー、俺に任せろ!と勝手に手足が動く。 |
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◆歩くのも困難を極めるヌタ場は続くよどこまでも 勿論必要最低限の経費は要るけれど、労働対価に労働保険に厚生年金に退職金といったものは一切必要無い。悪友が労働対価とは我慢料だと言う。なるほどと思った。僕は大自然の中で好き勝手にやっている。だから必要経費さえ満たされていればそれで十分なのだ。 かつて日本軍は十分な資源無くして米国との戦端を切った。あの時石油の輸入経路さえ断たれなければ、ズタボロになる前に好条件で停戦に持ち込めた可能性があった。条件さえ整えば必敗と言われた世界の下馬評を覆したかも知れないのだ。五郎丸の世紀の番狂わせの如しだ。 |
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◆突如巨大な凹みに遭遇し徒歩でも前進不能となる 現場は完膚無きまでの密林と化している。激藪・倒木のみならず沼地に湿地なんでもござれで、いつターザンが現れても不思議でない状況だ。最早単車云々といった環境にない。僕はかつて密林の奥地で餓死した旧日本兵と同じ轍は踏まない。 エンジェルによって必要にして十分な食料と小道具が揃っている。現場の状況を的確に捉え収集分析した後迅速且つ適切に対応するという点で、ロナルドレーガンに比肩する無敵艦隊と言っても過言ではない。その廃道無敵艦隊が静かに錨を下す。 美利河峠11へ進む 美利河峠9へ戻る |