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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>美利河峠 |
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美利河峠(4) ★★★★★ |
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美利河峠(ぴりかとうげ)の取扱説明書 ニセコ・ルスツ・トマム・・・北海道に於ける片仮名の三文字表記地名は?3秒前、2、1、Q!と行き交う者にいきなり投げかけると、必ずと言っていいほど返ってくるのがメジャースキーリゾートと相場は決まっている。そこにピリカの名を挙げる者はまずいない。道民の内外を問わずピリカってどこ?ピリカって何?というのが現実的な反応である。その影の薄さは道路的にも然りで、美利河峠越えを目的として国道を走る者は皆無に等しい。だがそれが単なるドライブやツーリングではなく、旧廃道の探索となると話は別だ。一般に美利河峠に古道筋は存在しないとされ、旧廃道に言及した記事を目にした試しはない。事実拡張に次ぐ拡張で形成された現在の峠付近に、並走する別ルートは実在しない。但しその前後には失われた切り通しを補って余りある長大路線が森の奥深くで息を潜めている。そこで目にしたのは道内各地に点在するメジャー物件に勝るとも劣らない涎もののレアな歴史道であった。完踏が叶わない絶望的な廃道の秘奥に見た超絶レア絶景と、辛うじて単車での踏破が叶う長大藪道の現況を余す事なく白日の下に晒す。 |
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◆道路際の案内板で花石地区に入った事を知る 前途したようにピリカダム直下の美利河橋の竣工は、昭和58年11月となっている。それ以前はどうしていたのかと素朴な疑問が湧出るが、既に読者諸兄も薄々気付いているように、国道は堰堤の向こう側を走っていた。そう、ダム開発以前の国道は湖の底深くに沈んでしまったのだ。 巨大ダムの出現によって移設を余儀なくされた国道230号線は、堰堤の正面を豪快に駆け抜ける仕様に改められた。ピリカダムの建設が快走路と化した現在の国道230号線の契機のひとつとなったのは言うまでもない。どこもそうだがダム建設では既存の路線が例外無くグレードアップする形で敷設される。 |
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◆花石地区の旧道には国道時代の置き土産が残る まるで将来の四車線化を見越したかのような頂きの巨大な掘割や、峠の西側に散在する旧道の残骸等は、恐らくダム建設に絡めて施工された治水事業の一環で、ピリカダムと旧道の残骸群はけして無関係ではない。事実村人は数年前に瑪瑙橋が沈下し、流木や体積した土砂でしばらく通れなかったと語る。 青看が今この瞬間も幹線路であると主張するが、村人の証言はそれが無効である事を示している。後志利別川の氾濫で橋上に堆積した土砂等は放置され、一時期通り抜けは叶わなかった。今でこそ宮島地区と花石地区を行き来出来るように改められているが、当該区間が管理者の御荷物である点は否めない。 |
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◆幾度かの改修で継ぎ接ぎだらけになった旧国道 昭和36年竣工の瑪瑙橋は既に50余年の歳月を経ているから、経年劣化による老朽化は否めず、恐らく落橋したら二度と再生される事は無いだろう。橋より東の旧道筋には人家が一軒も無く、また新瑪瑙橋を含む新道の存在によって、わざわざ巨額の費用を投じて今更そこに橋を架ける理由が無いのだ。 いっその事後志利別川の氾濫によって旧瑪瑙橋が流失してしまった方が都合が良いのかも知れない。住民にとっては不便になるのだろうが、実の所そうでもなかったりする。というのも橋の西側、即ち花石地区の旧道筋にも人家はほとんど見当たらないからだ。建物はある。しかし人が住んでいる気配がない。 |
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◆センターラインの跡が薄らと残る花石中心部の旧国道 それも建物の多くが花石の中心部である花石停留所付近に集中しており、そこは再び新旧国道が交わる交点に重なるから、旧瑪瑙橋が流出したところで誰も文句など言いますまい。正確を期せば花石中心部の国道230号線新旧道は、重ならずに並走する形を採る。 H字状で互いを行き来出来るようになっていて、基本的に新旧国道は干渉せずに共存している。ただ旧道は一部のアスファルトが引剥がされ、常人の感覚では気軽に進入出来ない私有地状態と化している。排除された残骸の表面には、大型車同士の相互通行を許す二車線跡がはっきりと見てとれる。 |
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◆新道に合わせて分断された花石中心部の旧国道 旧国道筋の一部は未舗装になりつつも、その線形は以前の国道230号線が花石の中心部を東西に貫通していた事実を物語る。かつて自宅前を横切っていた幹線路は、30m前後離れた場所を通っている。バイパスの如し高速走行必至の快走路と廃れゆく市街地、両者は近くて遠い別世界の感がある。その印象はこれより授かる衝撃発言に遠からず重なるものがあった。 ほれ、そこの交差点、あそこに昔は駅があったのさ。瀬棚線の花石駅、この辺りは駅前だからそこそこ賑やかだった。今じゃすっかり寂れてしまったけどね。 |
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◆バス停と郵便局と商店が集まる花石の中心部 花石に鉄道が通じていた! 何ですと?かつてこの地を陸蒸気が駆け抜けていた。僕はそんな事も知らずに美利河峠を語ろうとしていたのだ。恐ろしい、無知ってホント恐ろしい。だが知らない事と引き換えに、これより齎される情報は全てが新鮮且つ斬新なものとなる。 無知を恐るるなかれ(←と自分に言い聞かせる)、聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥と言うではないか。瀬棚線に乗車経験のない鉄っちゃんが語る蘊蓄や瀬棚線跡未踏の廃鉄武勇伝に比べればナンボかマシじゃボケぇ!(←と優位性を主張する) |
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◆かつての駅前商店と花石生え抜きの婆ちゃん 花石に鉄道が通じていた。現況からは全く以て信じ難い話だが、花石地区生え抜きの婆ちゃんがそう言うのだからどうしようもない。何でも鉄道は廃止されてから30年近く経つという。そりゃ一回通り抜けただけの素人じゃ分かりませんやねぇ。 そう言われてみると商店の傍には郵便局やバス停など公共施設が集中している。それが単なる気のせいではないと花石の婆ちゃんは主張する。この後彼女が予想外の爆弾発言をぶちかますなど、この時の僕は全く想像すら出来ずにいた。 美利河峠5へ進む 美利河峠3へ戻る |