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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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右手峠(16) ★★★ |
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右手峠(うてとうげ)の取扱説明書 美作北部の県境に一際存在感の薄い峠がある。県道智頭勝田線と呼ばれる主要路で、曲りなりにも県界を跨ぎ一桁県道という肩書を持っている。しかし左右を志戸坂・黒尾越えの両雄に挟まれている為か、大方のドライバーの眼中には無いに等しい峠道で、実際に平日の通行量は主要県道とは思えぬほど閑散としている。断っておくが当物件は旧廃道に乏しい期待薄の峠道である。右手峠はその期待値に違わぬつまらなさで見事に応えてくれる訳だが、どうしても当路線を取り上げない訳にはいかない必要に迫られた。その理由は他でもない黒尾峠の存在感を際立たせる為だ。脇役あっての主役だとすれば右手峠は名脇役として外せない存在で、肉じゃがのじゃがいもに相当する必要不可欠な具材で、それ無くして肉じゃがは成立し得ない。新旧道の比較も大事だが並走路線との対比もまた重要で、両者の相乗効果は計り知れないものがあるし、峠道に対する見方が大きく様変わりするかも知れない。本件はセンセーショナルな旧廃区に頼らないレポートが成立するか否かの挑戦であり、またマイナー道路が主役に成り得るか否かの試金石でもある。黒尾峠のスピンオフとして右手峠を成立させるべく、県道の今昔を余す事なくここに封じ込める。 |
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◆派生する歩道と見比べて車道に見えなくもない本線 分岐点にヘナリワンを置いてみいれば一目瞭然で、急激に崖下へと吸い込まれる右の路は、物理的に単車の進入を許すものの、その道程はトライアルコースに似た難易度の高いものである。対する直進の路はスーパーカブでも容易に前進が可能で、特殊な技能を必要としない。 右の小径はオフ車で進入出来なくはないが、残念ながら僕のテクではどうにも対処出来ず、ヘナリワンを御釈迦にするのがオチである。普段から競技に参加するほどの腕のあるライダーならばあっさりと克服出来るのかも知れないが、本件に関しては右の小径を技量で克服する事に大した意味はない。 |
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◆物理的に旧規格の軽自動車の通行を許す幅広道 オフロードバイクを手足のように自在に操り、山中を縦横無尽に走る徒歩道サイズの小径を走り倒す行為は、それはそれで有意義な時を過ごせるに違いない。趣味の一環としては魅力的ではある。しかし目的が目的なだけに、僕は敢えてそのような行為を封印してきたし、美味しそうな道を意図的に拒んできた。 オフロードバイクに跨った者の行き着く先は、道無き道の踏破即ち手付かずの山中を自由に駆け巡るだとか、獣道等の小径を可能な限り突き進むといった少々無茶な山遊びで、小さい山をひとつ買って自らコースを切り拓き、何の制約も受けずに野山を駆け回るという夢を抱いているオフ車乗りは少なくない。 |
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◆山道は非常に緩やかな勾配で山肌を横這いに進む 地方の末端の土地がほとんど二束三文である相場と、重機一台あれば何でも出来る現実を知ってしまった僕は、年収100万円程度の低所得者層であってもそれを具現化出来る術を身を以て承知している。従って自ら所有する山林に難易度の高いコースを新設し、腕を磨こうと思えばいつでも出来てしまう。 しかしそれでは仕事にならない。ヘナリだから行けたんだろうと言われてしまうのがオチだし、難関コースの突破は単なる自己満足に過ぎない。好奇心に身を任せ難コースに突っ込む無茶ぶりは画的には面白い。しかし下手に腕がある事で本来は難関であるはずの道をあっさりと克服してしまっては意味がない。 |
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◆苔生した深緑の斜面が人為的に設けられた法面 常人の神経では三尺程度の小径に挑もうとは思わないし、獣道は道に非ずといった般ピーのバランス感覚は重要で、特に車道か否かを見極める上で無用なテクほど邪魔なものはない。普通に走れるか否かを精査するには、一般のライダー&ドライバー目線を持ち合わせている必要がある。 そういった意味では郵便局の配達員に新聞配達に蕎麦屋の出前といった業務用のカブを使いこなす者の感性は相性がいい。必要最小限のサスペンションしか持ち合わせないスーパーカブは、空き缶程度の障害物でも苦にし、ちょっとした段差にも非常に敏感で、イレギュラーな道には極めて脆弱である。 |
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◆部分的には普通車の通行も叶う区間が存在する その悪路に不向きな単車に跨った般ピーが、難なく古道を克服出来るとしたらどうだろう?そこには必要にして十分な説得力がある。腕のあるライダーがオフロードバイクを駆使すれば、熊野古道のような大障害をも克服してしまう可能性があるが、そうでない場合は二進も三進もいかない。 その般ピーでは如何ともし難い駄目さ加減が重要で、素人が悪路をそれほど苦もなく走破出来るとしたら、そのコースは何等かの梃入れが成されている可能性があると見るのが妥当だ。緩い勾配と不必要に広い道幅はその最たるもので、車両を通すという確かな意図を以て改修された可能性が大だ。 |
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◆全体的にカーブのRも緩く造林作業道を予感させる 途中で枝分かれした徒歩道サイズの小径とは異なり、直進の路は全く無理せずに単車での前進を許す。スーパーカブで突っ込んだ方がリアリティに富んでいるが、線形は現在の一般道に比して何等遜色ないレベルにある。決壊箇所さえ何とかすれば軽トラでも進入可能な規格にあるのだ。 このコーナーの手前の左手には、一部が苔生して青光りしている壁面が認められる。人為的に削られたであろう急傾斜の土壁が本来の法面で、その足元に堆積した枝葉を除去すれば軽四の通り抜けが叶うほどの路が現れるのは必至で、まさにこのカーブは車道を彷彿とさせる特殊な線形をしている。 |
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◆馬車道を彷彿とさせる知られざる右手峠旧道筋の実態 ドーン!見よ、この見事なヘアピンカーブを。山襞に沿って180度ターンする山道が、果たして人畜のみの通行を許す純粋な江戸道と言えるであろうか。著しい高低差でもあれば話は別だが、全く以て勾配は緩いし緩過ぎると言っていい。 しかも本気で行こうと思えば軽四が行き来出来てしまうこの道を、旧態依然とした江戸時代の純粋な古道筋と誰が断言出来るであろうか?残念ながら僕には江戸道には見えないし、誤解を恐れずに言えばこいつは車道以外の何者でもない。 右手峠17へ進む 右手峠15へ戻る |