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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>旧道>岡山>川面峠 |
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川面峠(4) ★★★ |
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川面峠(こうもとう)の取扱説明書 川面峠、全く聞き慣れない峠だ。そりゃそうだ、我らがバイブルツーリングマップルに一度も掲載された例がなく、市販の地図の多くが未掲載であるから、般ピーは基本的にその存在を知る術がないのだから。僕も御多聞に漏れずつい最近までその存在には気付かずにいた。正確を期せば読者からの情報により既知ではあったが、今にしてみればそれは迷宮の入口に過ぎない。舞台となるのは広島県と鳥取県に接する新見市で、歴史道では未着手の空白エリアである。何故今日の今日まで手を付けなかったのか?それは新見最大の謎である九の坂が絡んでいるからだ。当時の僕では手に負えなかったし、強引に着手すれば食い散らかして終わったであろう。しかし今は違う。江戸道以上明治道未満の暫定車道の発掘に尽力し、数多の実績を積み重ね機は熟した。これより川面峠&九の坂の二部構成で新見市街最大の障壁に挑むが、広島・鳥取・島根の各県が絡む壮大な物語が、岡山県の殻を破る突破口となる事を付け加えておかねばなるまい。 |
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◆竹林の真只中は4m幅があり普通車同士の離合を許す 当山道は国道182号線の旧道である。そんなショッキングな事実を突き付けてきたのは、新見市民を名乗る読者であった。一般レポで取り扱っている九の坂に対する情報提供としてそれは齎された。そんな馬鹿な!これが情報を受け取った際の僕の偽らざる心境である。 だってトンネルの上を行く車道が存在するし、仮に国道182号線と県道8号線が親子関係にあるとしても、新旧道筋が直線にして3kmと距離が離れ過ぎており、距離を隔てた全く異なる経路を辿っている事実ひとつとっても、はいそうですかと鵜呑みにする訳にはいかない。 |
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◆山道の中腹に斜面にへばり付く五軒ほどの人家 その際は県道8号線筋を全く考慮せずに机上での判断であったが、この度問題の峠道を踏破してみてその時抱いた僕の印象は更に深まった感がある。やっぱこれ国道じゃねーぞと。九の坂トンネルの頭上を伝う山道はほぼ全線が完全一車線で、確かに国道であったとするには無理がある。 しかしだからと言って直ちに当山道が真の旧道ですとはならない。何故ならこの道も九の坂に負けず劣らずの狭隘路であるからだ。正確を期せば全体的に九の坂より幅員は広い。しかしそれは広いと言っても数十センチの違いでしかなく、大型車一台と歩行者の擦れ違いが叶わない最狭区は存在する。 |
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◆小集落の外れで山道は曲率半径50m前後で反転する 九の坂と当山道に劇的な相違があるなら話は別だが、大型車と歩行者或いはチャリとのまともな擦れ違いが叶わない狭隘区を含み、尚且つ全体的な雰囲気は甲乙付け難い劣悪な環境であるから、対九の坂に於ける当山道の優位性は今の所見出せないし、少なくとも現時点で決定的な証拠は見当たらない。 ただこの山道には主要県道の肩書が付与されている。パッと見は誰が通るのかというほどの深山幽谷を彷徨い、沿道にポツリポツリと見られていいはずの人家は絶えて久しい。行き交う車両は皆無に等しく、道中で擦れ違ったのは地元の軽トラ一台と、峠越えを趣味とする自転車一台のみである。 |
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◆谷底に棚田を転用した山羊の放牧場を捉える 主要県道なのに白昼の交通量は皆無に等しいこの現実。果たして人気のない森の中をのらりくらりと伝う山道が、本当に元国道なのだろうかという疑念はいまだ払拭出来ないが、谷底には管理の行き届いた田畑及び牧草地が広がり、そこには数軒の人家も認められる。 谷底と山道との高低差は徐々に縮まりつつあり、この先にまだ集落が点々と続いている可能性がある。かなり下界に近いところで新見側の最終人家を捉えたつもりでいたが、まだこの奥にも人家がそれなりに存在するのであれば、三桁県道の間違いではないかという疑問符の解消に繋がる。 |
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◆登坂途中の谷間は開けて明るく開放感に溢れる 主要一桁県道を名乗るからにはそれなりの環境を想像するが、対抗馬となる九の坂とは正直どんぐりの背比べで、強いて当山道のセールスポイントをアピールすると、それは日当たり条件の良さという事になる。道は相変わらず狭いが、谷間は開けていて開放感に溢れている。 日中の交通量が極小という事もあって、見通しの利かない山道でありながら快適なドライブを約束する。眼下には羊の群れが戯れ、桃源郷と見間違うほどの牧歌的な風景が展開する。しかしアルプスの少女ハイジの世界に入り浸っている間もなく、すぐに現実へと引き戻される。 |
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◆谷底との交点差がなくなった先にV字の窪みを捉える 視界前方に切り通しらしきV字の窪みを捉え、丁度そこを目掛けて谷底を這い上がってきた道路と重なっている。新見市民氏から授かった事前情報では峠越えか否かの記述はなく、単に現国道に対する旧道という事のみである。但し交通史家として聞き捨てならない情報が盛り込まれていた。 旧道をバスが走っていたというのだ。仮にこの山道が現国道182号線の旧道だとすると、たった今僕が辿ってきた道筋をバスが往来していた事になる。ホンマかいな?これが県道8号線をトレースした僕の率直な感想である。何故なら道中は大型車一台がギリギリのボトルネックが少なからず存在するからだ。 |
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◆峠の直前に構える小集落で営業中の山羊牧場カフェ V字曲線を直前に控えた集落は実に不思議な佇まいで、県道8号線沿いには唯の一軒も人家が見当たらない。全ては谷底を這い上がってくる狭隘路沿いに密集している。密集していると言っても確認出来るもので僅か二軒に留まる。 その昔はもう少し戸数があったかも知れないが、切り通しの直前で人の営みが認められる人家はたったの二軒である。現在は羊牧場を営む御主人が僕の質疑に応じてくれた。聞くがいい、主の口から吐き出される数々の峠伝説を。 川面峠5へ進む 川面峠3へ戻る |