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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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多和山峠(6) ★★★ |
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多和山峠(たわやまとうげ)の取扱説明書 瀬戸内と日本海を結ぶ地味な国道313号線の道中で、最難所と言えば犬挟峠で異論はないと思われるが、それと双璧を成すとされる難所がある。それが真庭市と有漢町の市町界を隔てる多和山峠だ。僕は最近まで気付かなかった、峠名の多和が乢とイコールである事に。平仮名表記にして初めてそれを意識する事になるが、それが単なる思い込みでない事実を後に知る事となる。多和山峠は古くは峠山峠と表記され、上から読んでも山本山、下から読んでも山本山のキャッチフレーズ同様、上から読んでも下から読んでも峠山峠である事が調査過程で判明する。この衝撃の事実はロイター通信を介しアメリカ全土に発信され、全米を震撼させた。今でこそ誰もが発狂せずに済むように多和の文字が宛がわれているが、古来多和山峠は峠山峠が正式名称であり、漢字では誤魔化せても平仮名では誤魔化せない。たわやまとうげは読んで字の如し峠&山&峠と山深さを前面に押し出しており、多和山峠表記ではけして読み解けない難所である事を、昔の人は身を以て知っていたのだ。果たして峠を連呼する程の難所とはどのようなものなのか?その実態を白日の下に晒そう。 |
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◆大型車と単車の擦れ違いも困難な北房側最狭区 当山道に代わる馬車道が見当たらない。当たり前だ、今まさに上り詰めている車道こそが馬車道以外の何者でもないのだから。北房側の最狭区間は軽自動車同士の擦れ違いを許さない。物理的には可能かも知れないが、脱輪したらアウトと思うと路肩ギリギリにタイヤを寄せてなんてまっぴら御免だ。 互いに一歩に引かない逝かれポンチキ同士でない限り、どちらかが道を譲らねば安全な通行は成立し得ない。こげな場所でチキンレースをやっていたらいくら心臓があっても足りない。滑落したところで木々に引っ掛かるから落命こそ免れるが、如何ともし難い下界との落差に肝を冷やす事になる。 |
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◆見通しは利かないが軽自動車同士が離合可能な区間 最狭区はパッと見が大型車一台の通行しか許さず、そこは歩行者との擦れ違いがやっとの狭さで、自転車や単車との離合も容易でないほどの狭隘路だ。そのような厳しい区間は長くは続かないが、普通車同士の擦れ違いを許す幅広道と狭隘路は、断続的且つ頻繁に現れる。 かなりの箇所で拡張が試みられているが、何等かの事情で後回しにされた区間も少なくない。そうこうしているうちに新道が開通し、山道は中途半端な状態で主役の座を降り、現役を退いた当時の状況を維持したまま今に至る。旧道後に手が入ったのは崩落箇所の復旧のみで、積極的な改修は成されていない。 |
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◆センターラインがあっても不思議でない二車線区間 アスファルトも往時のままなのか、あちらこちらに亀裂が入っている。管理者としては可能な限り経費は抑えたいから、多少の剥離は笑って誤魔化すしかない。どこも財政状況は厳しいであろうから、利用価値の薄れた過去の路に再投資する余裕などなく、致命傷以外の不具合は目を瞑るしかない。 しかしこのまま風雨に晒されてアスファルトが用を成さなくなるのも悪くはない。米国では未舗装化に着手した州があり、維持費を1/10に抑えた実績がある。早晩この国は立ち行かなくなる運命にあるのだから、暇さえあればアスファルトを引っ剥がすくらいの断行が今の日本には必要だ。 |
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◆進行方向左手は操業を停止して久しい鉱山か採石場 私が総理だったら直ちに旧道、林道、使用頻度の低い道路は全て未舗装化を命じ、時代の流れに逆行する!と声高に叫ぶ抵抗勢力に真っ向から挑み、消費税撤廃と共にオダノミクスを断行する。高速道路及び主要幹線道路以外は基本バラス道、楽しいぞ〜俺がね! 日本人の脳裏から忘れ去られて久しいが、かつて我が国にも舗装化に躍起になった時代があった。裏を返せば未舗装路が主流であった訳だが、御多聞に漏れずここ多和山峠も砂利道時代を経ており、旧道化後の期間を含めても未舗装時代の方が圧倒的に長い。 |
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◆いつ倒れてもおかしくない年季の入った警戒標識 この峠道は舗装化されてからまだ40年程度しか経っておらず、そのほぼ倍の期間を非舗装の悪路で凌いできた。当山道の道中では道幅が狭い事ばかりに目が行くが、昭和40年代までは狭隘山道という欠点に加え、凹凸の激しい未舗装路という懸念材料があった。 今日の山道は全線舗装化が成され、かつて峠を越えた者達が味わった脅威は半減している。舗装化は新道がまだ影も形もない頃に達成されているが、グリップの利く安定感抜群の路面に、どれだけのドライバーが救われたか知れない。もう路面の水溜りや凹凸を気にしなくて済むのだ。 |
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◆山道は潤沢な二車線幅を維持したまましばらく続く 般ピーにはほとんど縁のない林道と違って一般道の舗装化は、安全性や時短を担保する上で必要不可欠な処置である。林道の舗装化を歓迎する者はほとんどいないが、それが生活道路となれば話は別だ。しかも路線で一二を争う難所ともなれば、可能な限り速やかに敷設というのが沿線住民の願いであろう。 拡幅が先か舗装化が先かは悩ましいところではあるが、終わってみれば多和山峠はそのどちらも達成しており、路の拡張については一部に狭隘区間が残るものの、大型車同士の相互通行を許す幅広区間も少なくない。また舗装化については達成率が100%と文句無しの実績を残す。 |
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◆背後のV字辺りに鉱山もしくは採石場があった模様 近代道路としては少々心許無いが、努力の成果は随所に垣間見られる。平成の足音が近付いてきても尚現役を張る山道は、最後の最後まできっちりとメンテナンスが施され、斜陽の路であるからと関係者が手を抜く事はなかった。 関係者が現役を退くその日まで努力を惜しまなかったのは、当山道がこの界隈きっての主要幹線道路であり、国道という肩書がそうさせたのかも知れないが、やはり代替が利かない唯一無二の生命線であるという点が大きい。 多和山峠7へ進む 多和山峠5へ戻る |