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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>大岸峠 |
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大岸峠(25) ★★★★★ |
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大岸峠(おふけしとうげ)の取扱説明書 北海道新幹線開業のニュースが世間の耳目を集めているが、JR北海道が入念な最終チェックをしている時分に、僕は最初で最後の一大プロジェクトに取り組んでいた。猿留山道及び雷電山道と並び蝦夷地三大難所に数えられる礼文華山道の完全制覇である。単車による走破、それも豊浦から長万部まで全て旧道を伝い、しかも半日で一気に駆け抜けるという壮大且つ無謀な試みで、計画の段階で大岸⇔豊浦間が最大の懸案事項と目された。海のものとも山のものとも分からぬ未踏区は、難易度は高いが攻略出来なくはない。出足平峠・豊浜洞・湯内峠の長大山道以来の大長編スペクタクル第一弾、オフケシ峠の衝撃・今宵解禁。尚今度こそR8での峠越えを立証すべく最善を尽くす。下町ロケットアウディ計画トラストミー編、始まります。 |
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◆ドライブインいずみを中心とする新旧国道重複区 僕が悪戦苦闘の末に悶絶した激藪道は、押しも押されもせぬ主要二桁国道の祖で、トンネル連発でスピーディーに駆け抜ける現在の快走路が成立する以前に供用されていた最古の路である。それも現国道の前進のみならず、現役当時既に国道を名乗っていた正真正銘の旧国道というから驚きだ。 旧道時代は地方道で後に国道に昇格という出世街道を歩む叩き上げではなく、始めから国道ありきのエリート街道でありながら壮絶な藪のラビリンスと化した姿は、あの軍艦島に勝るとも劣らない強烈なインパクトを伴い、道路という一ジャンルを超えて人々を魅了する逸材と確信する。 |
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◆道道608号大岸礼文停車場線との交点 信じられない話だが大岸峠は昭和27年の時点で既に国道を名乗っている。終戦から僅か7年後に国道に指定、それも一級国道というから開いた口が塞がらない。列島全域で僅か数十路線しか枠のない狭き門を潜り抜けたエリート中のエリート、それがあのような無様な姿を晒している現実に言葉を失う。 使い捨てと言ってしまえばそれまでだが、国の根幹を成す大動脈として機能するのみならず、大岸と豊浦を結ぶ唯一無二の路として大役を任された生命線であるからして、市町村道に降格してそれ相応の管理下に置かれる等の配慮があって然るべきだが、功績に対する後年の仕打ちはあまりにも酷い。 |
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◆道道608号線と国道37号線の間を割る旧国道の残骸 二級国道ならいざ知らず大岸峠は天下の一級国道である。無慈悲な放置プレイによって自然に還らんとしている。たまたまその難を逃れた豊泉以西の新旧重複区は、ドライブインいずみを中心に歩道付きの二車線路へと刷新され、道道608号大岸礼文停車場線との分岐点に至る。 大岸市街地へと通じる道道608号線は国道37号線の降格路で、かつて一級国道は大岸市街地を貫通して礼文市街地へと抜けていたという。現国道と現道道の分岐点には未使用と思われる舗装路が通じていて、盛土による4m幅の直線路がどことも接点を持たず独立する形で佇んでいる。 |
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◆盛土によって嵩上げされ道道時代に舗装された旧国道 それがかつて豊泉⇔大岸⇔礼文という経路を辿っていた国道37号線の残骸に他ならない。後年舗装され道道路線として余生を送っていた旧国道は、道央自動車道の敷設に伴い線形の大幅な変更を余儀なくされ、一部区間が切り離され放置された結果、原形を留め今に至る。 昔の小型乗用車同士がやっと擦れ違える程度の狭き道は、大岸峠の切り通し以降の幅員と何等遜色なく、これを見る限りかつての国道が豊泉以降再び海岸線を目指していたというのも頷ける。物証は旧道の残骸だけに留まらない。この先には覆し様のない決定的な証拠が待ち受けている。 |
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◆道道608号線の大岸小学校付近に現存するおにぎり 現国道の経路は大岸隧道を中心とする山越えルートで、国道は海岸伝いを避けるようにして内陸部へと舵を切る。その経路は昭和40年代初頭に成立したのだとミスターは語る。それ以前は猫もし杓子も大岸峠を越え大岸市街地を経て大岸駅前を通過していたのだと。 ほんまかいな?僕は疑っていた。海岸線ではなく地図から抹消された山岳道路が存在するのではないかと。大岸隧道の直上を越える旧道が眠っているのではないかと。しかしそれが根拠なき推論でしかない事を大岸小学校前で思い知る。見てくれ、この哀愁漂う後ろ姿を。 |
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◆鉄柱の側面に薄らと残る開発局の文字 草臥れた鉄の棒は色褪せ塗装が部分的に禿げている。錆び錆びという訳ではないがそれなりの経年劣化が認められ、この物体が相応の年輪を重ねているであろう事は疑う余地がない。鉄棒の側面にはやや擦れつつも文字が浮かんでおり、そこには開発局と刷り込まれている。 開発局、それが何を意味するかは言うまでもない。北海道開発局以外に一体全体何が思い浮かぼう?おにぎり型の板と開発局と刷られた鉄棒、この組み合わせで国道標識で無ければ嘘だ。それでは御覧頂こう。旧国道と称される道道608号線に現存する決定的な遺構を。 |
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◆大改造ビフォーアフターされた国道37号線の標識 は〜ひ・ふ〜へ・ほ〜! 誰だこんなイタズラをしたのは!37という番号すら認識不能なほどペンキで塗りたくったおにぎりは、国道標識でありながら国道標識でない見事な変わり身で我々を翻弄する。 だが般ピーは騙せてもこの私の目は誤魔化せない。流石は小学生、開発局の消し忘れという致命的なミスにより、当路線が旧国道である可能性が大いに高まった。 大岸峠26へ進む 大岸峠24へ戻る |