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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>廃道>北海道>太櫓越峠 |
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太櫓越峠(1) ★★★★★ |
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太櫓越峠(ふとろごしとうげ)の取扱説明書 渡島半島の東側を南北に走る海岸線は、我が国で五番目に重要な路線にして、北海道随一の幹線である事に異論の余地はない。その東海岸線を陽とするならば、瀬棚と江差を結ぶ西海岸線は陰となる。山陽道と山陰道の例を出すまでもなく両者の交通量には決定的な差があり、結果開発は遅々として進んでいない。事実これより挑む山道は昭和の晩年まで直に鞍部を跨いでいたし、鉄道は今も昔も西海岸線を走破した試しがない。結果太櫓越山道が唯一の生命線となる訳だが、山道に注がれた先人の血と汗の結晶は、トンネル開通後も極上の峰越フラットダートなる副産物を齎す。その恩恵に授かったドライバー&ライダーは少なくない。走破済という経験則から今度こそR8での峠越えを立証したい。下町ロケットアウディ計画起死回生編、始まります。 |
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◆起点となる道道42号八雲北檜山線との交点 悲しいかな起点となる道道42号八雲北檜山線との交点には信号機のひとつも無く、ただただ青看が主要路同士の交点を示しているのみで、それが無かったらどこにでもある一介のT字路に過ぎない。現場に目立った建物等は皆無で、本当に幹線同士がぶつかる交点なのかと疑ってしまうほど閑散としている。 気の性か国道を直進する車両よりも、道道へ右左折する車両が目立つ。24時間交通量調査をしている訳ではないので、撮影の為に高々10分少々の滞留では何とも言えないが、印象としてこの交点を折れ曲がる車両は多い。道道42号線はこれより支庁界を跨いで八雲へと抜けている。 |
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◆峠下にあたる金ヶ沢付近は人家も疎らで閑散としている 町界を隔てる稜線上の南には1063mの太櫓岳が控え、本来であれば太櫓越或いは太櫓峠と冠されるのが適当と思われるが、どの地図でも道道42号線は名無しの峠道となっている。一方国道229号線は峠丸山の麓を越えていて、大凡太櫓越峠とは縁遠いように思えてならない。 それに越と峠はイコールであるから、太櫓越峠は長島監督が残した偉大なる迷言「我が巨人軍は永久に不滅です!」に似ていて違和感がある。国道は太櫓越で道道は太櫓峠と区別するのが望ましいが、欲張りな国道は太櫓越峠と意味不明なてんこ盛りにしてしまった事で、道道の峠は成す術がなかった。 |
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◆谷筋を遡上する峠道に人家は皆無で快走路が続く 太櫓とは縁もゆかりもない国道の峠であるが、二車線の快走路はすっかり板に付いて久しい。地元住民の話ではその昔は見通しの利かないクネクネ道であったというが、その点はすっきり解消されている。二俣川に沿って谷間を縫う蛇行ルートは、どこもかしこも緩やかなカーブを描いている。 左右の所々に一時代前の旧道の残骸が認められるが、その多くは取るに足らない一断片に過ぎない。直線化によって残骸は待避所等で二次利用される場合もあるが、この峠道に於いては多くが藪に没している。それを一つ一つ丁寧に拾っていたら日が暮れてしまう。 |
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◆桧山トンネル手前の膨らみは待避所兼バスの停留所 二俣地区の道道42号線との分岐点以降徐々に人家は減少し、元々過疎っていたエリアがいよいよ無人地帯へと突入する。チャリ以外は坂か否か意識しない緩やかな勾配の路が急激に跳ね上がるそこが峠下で、バス停で言うと金ヶ沢停留所となる。鉄道が通じないこの界隈では停車場に等しい拠点だ。 但し停留所付近にまともな人家は見当たらず、除雪ステーションがあるだけの殺風景な場所で、人が乗り降りしているようには到底思えない。それは峠に設置された停留所にも言える事で、トンネルに潜り込む直前の電話ボックスがあるのみの待避所に、桧山トンネルと刷られた停留所がポツリと佇んでいる。 |
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◆スノーシェッドで導かれる総延長1km超えの長大隧道 頂上付近に置かれた停留所を利用する者など果たしているのだろうか?そんな疑問を抱きながらおにぎりのような断面のトンネルをしばし眺める。この桧山トンネルの坑門はポータルであってポータルでない。その実態はスノーシェッドの導線で、真の坑門は100mほど先に待ち構えている。 左右には点検用の通路があり徒歩による通行は可能だが、ドライバーの多くはこんな僻地に人がいるだなんてこれっぽっちも思っちゃぁいないから、急ぎの用でなくとも軽快に飛ばす車両は少なくない。洞内を横断する際お化けか地底人と勘違いされ、轢き殺されるのではないかと不安が過る。 |
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◆前後共にスノーシェッドで導かれる桧山トンネル 北海道を旅する原チャリ、チャリ、徒歩組は、トンネル内で大なり小なり危険な目に遭っている。中型二輪でも背後を四輪にピタッと付けられたら嫌〜な感じがするが、彼等の脅威はその比ではない。それも1kmを超える長大隧道となると、背後の威圧感は何倍にも増幅する。 桧山トンネルは1010mと結構な長さを誇る。忘れた頃に車列の一団がやってくるから、それをやり過ごしてから一気に駆け抜ける事になるが、そういう時に限って背後から猛然と追い込んでくる一台の車両が現れ、そういう車両に限って無燈火という御約束で、全てはマーフィーの法則に則っている。 |
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◆現道と旧道を繋ぐ唯一のエスケープルート 原チャにしてもチャリにしても四輪相手ではどうやったって逃げ切れないのだが、本能として一部の望みを託し生涯最高の走りで逃げ切りを図ろうとする。そうこうしているうちに背後でヘッドライトが点灯し、明るくなったと思った次の瞬間には追い越され、逃走劇の意味の無さを痛いほど思い知らされる。 しかも暗闇でぶっこ抜いていった車両が軽トラだったりすると無性に腹が立つ。負けるべくして負けたのに、何故か悔しさだけが込み上げてくる。バックミュージックの月光に乗せ「悔しくないと言ったら嘘になります」と呟やいてはみるが釈然としない。 太櫓越峠2へ進む |