|
教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
|
|
トップ>旧道>岡山>志戸坂峠 |
|
|
志戸坂峠(1) ★★★★★ |
|
|
志戸坂峠(しとさかとうげ)の取扱説明書 トンネル有るとこ旧道アリ、この格言に従って物見遊山していると、旧トンネルもしくは廃トンネルに遭遇し、芋蔓式に鞍跨ぎの古車道を見出しと、一粒で二度美味しい優良物件に遭遇する事は珍しくはない。ここ志戸坂峠は現トンネルに旧廃隧道に尾根越え路の親子三代に亘る路の遍歴が垣間見え、老若男女が歴史道を容易に体現可能な峠道は近代土木遺産の優等生である。現場には必要にして十分な案内板等が備わり、自身の四肢と五感を駆使した実体験と、日替わりで時のアイドルと寝る妄想に裏打ちされた超絶想像力によって、誰もが一定の満足感を得られるに違いない。そこに史料が加わればもうお腹一杯で、次行ってみよう!となる。しかし何かが足りない。消化不良の嫌な余韻がいつまでも尾を引くのだ。この後味の悪さを解消するには土壌に一歩踏み込んだ掘り下げが不可避で、土地の人間に成り切る勢いで峠道を再考する必要がある。再三に亘る現地訪問及び全方位的に現場を精査し、公に出る事のない志戸坂峠の核心に迫る。 |
|
|
|
◆大原宿南の国道373号線と国道429号線の交点 志戸坂峠、この峠道をかなり早い段階で射程圏に捉えつつも、今日の今日まで発表を先延ばししたのには訳がある。確信に満ちた証言が得られなかったのも然る事ながら、日々刻々と進化する路線状況に戸惑い機を逃したのが大きい。諸兄も御存知のように近年当路線を取り巻く環境は劇的に変わった。 昭和56年の新トンネルの開通以降はしばらく進展がなかったものの、訪問する度に志戸坂峠を中心に国道373号線の新道区間が延伸し、近年中国自動車道並びに山陰自動車道とも直結を果たした。今では鳥取⇔佐用のほぼ全区間が高速道路に等しい自動車専用の高規格道路として供用されている。 |
|
|
◆智頭急行&鳥取自動車道と並走する閑散とした国道 数多のトンネルと高架橋で繋がる新道の光景は、一般目線では高速道路そのものであり、歩行者や原チャの通行が禁止されている以上、事実上の高速道路と言っても差支えない。事実鳥取自動車道は当初有料道路として計画され、後年国及び自治体が主導する新直轄方式に改められたという経緯がある。 受益者負担を無視して新設された国道は、利用出来る者とそうでない者とを二分し、市民の血税を投入しておきながら恩恵に授かれる者と授かれない者がいる理不尽さを鮮明にしたが、唯一の救いは県界を跨ぐトンネルのみ歩行者及び原チャの交通弱者にも開放した事だ。 |
|
|
◆昭和56年に供用を開始した現役の志戸坂トンネル この峠に関して何も知らない初見の僕は、てっきり従来のトンネルを歩行者専用もしくは旧道をそのまま解放し続ける新旧併用策にあるものと勝手に思い込んでいた。しかし実際には新トンネルのみ原チャOK牧場とするちゃんぽん方式が採られ、これが混乱を招く元凶となっている。 般ピーの多くは現在の国道373号線を無料の高速道路と思って走っている。法的にどうこうとか建設経緯がどうたらとかそんなん知ったこっちゃない。それが善良な市民の至極当然な解釈であり、高速道路の一部区間で原チャやチャリンコが平然と走っていていたら、そりゃ普通に慌てまさぁね。 |
|
|
◆洞内は高規格道路の一部でありながら歩道が備わる 二度見した上でハイビームにて前方に本来居るはずのない物体を捉え、条件反射的に何で何で!を連呼するのは至って正常な反応と言える。歩行者専用通路が設けられているので基本的にチャリは安心安全な歩道を行き来するが、中には道交法を順守し車道を強行疾走する好戦的な猛者もいる。 一応洞内は40キロ制限となっているが、前後の高規格道路と一体となっている事から、80キロ前後の猛スピードで駆け抜けて行く車両もざらにいて、悪気はないのだろうが交通弱者はトンネルを潜る度に戦々恐々としている。またトンネル出口で一般道に降りずに、そのまま行き切ってしまう原チャもいるだろう。 |
|
|
◆右手峠を越える県道7号線と国道373号線の交点 近年高速道路の逆走問題が取り沙汰されているが、合法的に乗り入れが叶う志戸坂峠の問題は看過できない。志戸坂トンネルのみ一般道と供用とした事の功罪は小さくはないのだ。何故そんな危うい状態での供用となってしまったのだろうか?それは開業を急いだからだ。 昭和初期に風穴を開けた隧道の老朽化は激しく、最早待ったなしの状態にあった。新トンネルの開通は地元の悲願であり急務であった。と同時に沿線には高速道路待望論も根強く存在した。新トンネル構想と高速道路問題、この両方を一挙に解決せんと実行したのが、高速道路を見越した新トンネル計画である。 |
|
|
◆今では交通量がめっきり減った歩道付二車線の快走路 志戸坂トンネルの基本設計は高速規格となっている。そこを暫定的に猫も杓子も通れるように装飾して早期開業に漕ぎ着け、その後の案件は開業後に検討する。そうやって問題を先送りにした結果、交通強者弱者共に何だかな〜感が否めない全国でも稀有なトンネルが出来上がってしまった。 将来の高速道路の片側二車線化に際に、もう一本トンネルを用意するのは必至であるし、常識的には国道の新トンネルと高速道路トンネルとを分けて計画するのが基本であるが、利用者の不満爆発を利用した炎上による集客増を狙った炎上ビジネスが目的であったなら、当ったという解釈が成り立たなくもない。 |
|
|
◆智頭宿の国道53号線と国道373号線の交点 昨日も今日も明後日も通行に支障を来す炎上トンネルを有する志戸坂峠。ネタとしてはなかなか面白いが、この峠の歴史を紐解くと更に興味深い史実と対峙する事になる。現代の珍トンネルに勝るとも劣らないインチキトンネルが、皆様のお越しをお待ち申し上げておられるのである。 トンネルあるとこ旧道アリ、この鉄則に従い旧隧道を中心とする旧道筋を踏破する事で、前世代の峠道がいかような歴史を辿ったのか、またどのような立ち位置にあったのか、大原宿から智頭宿に至るマクロ的視点で県下最大の障壁に挑む。 志戸坂峠2へ進む |