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教育委員会が贈る歴史の道調査報告書、その傑作を補完して有り余る佳作、歴史の道踏査報告書〜古老の証言集〜 |
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トップ>旧道>岡山>鎧乢 |
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鎧乢(1) ★★★ |
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鎧乢(よろいたわ)の取扱説明書 津山と勝田を結ぶ現在の国道429号線の礎を築いた津山真加部街道。その道中には二つの峠が存在する。ひとつは言わずと知れた出雲乢であるが、もうひとつの難所が鎧乢である。何だか戦国時代の戦をイメージさせる名称で、古来峠が戦の舞台となってきた歴史的事実を踏まえれば、この峠にもきな臭い伝説・伝承があっても全く驚けない。だが実際の現場は意味深な名称とは裏腹に、宗谷丘陵にも似た起伏の緩い穏やかなアップダウンを駆け抜ける快走路となっている。通勤・通学・ドライブといかなる車両も足早に過ぎ去る峠を敢えてスローモーションで通過すれば、通常では見えないものが見えてくる。それが旧道や街道といった古道筋の断片だ。散在するパーツを丁寧に拾い集め、一介の街道が国道昇格を果たすまでの軌跡を紐解く。 |
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◆起点となる国道429号線と県道67号線の交点 鎧乢、全く聞き慣れない峠だ。大体そのような名称は市販の地図のどこにも載っていない。ところが知っている人は知っている。出雲乢は知らなくても鎧乢は知っているという人は意外と多い。理由は国道429号線を低速で走行してみるとよく分かる。法定速度以下の鈍速でだ。 出雲乢が盆地の真只中にある有名無実な峠であるのに対し、鎧乢は稜線を跨いで前後が下り坂となる正真正銘の峠である。出雲乢は事実上の県道67号線の峠とみるのが妥当で、国道429号線の峠と解釈するには無理がある。しかし江戸時代の絵図によると、街道筋は二つの峠を越したとされている。 |
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◆高台に位置する出雲乢東側の国道429号線新旧道交点 ひとつは出雲乢で、もうひとつが鎧乢だ。街道筋の要所として前後する両者は、切っても切り離せない関係にある。旧植月村領内に点在する二つの乢は、津山真加部街道の経路上に出雲乢⇔鎧乢と連鎖的に記されている。似たような二つのコブを連続して越えるイメージだ。 起点となる国道429号線と県道67号勝央勝北線の交点は、低山に囲まれた盆地の中央に位置し、そこは峠の欠片もない。しかしそれが低山の斜面を降下する形で、代々の路線が刷新され続けた結果、峠が峠でなくなった事実を我々は知っている。出雲乢が戦後しばらくは峠の形状を保っていた事も。 |
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◆出雲乢東側新旧道交点より更に高みを目指すR429 出雲乢旧道と旧旧道の重複区が国道429号線にぶつかる交点は、谷底に等しい平野部の田園地帯からみて二階建ての家一軒分どころではない高所にあるが、親子三代が重なる国道は更なる高みを目指して高度を稼ぐ。その先には本物の峠が待っている事を予感させる。 出雲乢が偽峠と言ってしまえばそれまでだが、鎧乢は万人が万人峠と認める真っ当なアップダウンを形成している。両者を単純に比較する事は出来ないが、津山真加部街道の要所として連続する二つの峠の形状は対照的で、時の政策によって明暗を分けた格好だ。 |
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◆二車線の快走路に信号機付きの交差点が備わる鎧乢 米粒で税を納めた時代の道路とは、人畜が行き来出来れば御の字で、田畑を優先するのが常識であった。従って盆地の南麓を申し訳なさ程度に伝う出雲乢付近は、極めて理に適ったコースと言える。当時の民衆にとって現在の経路は狂気の沙汰であり、愚の骨頂と言っても過言ではない。 対する鎧乢は先人達が現況を目の当たりにしても「ふ〜ん」で終わってしまうだろう。何故ならそこは今も昔も田畑の耕作には適さない僻地であるからだ。峠は一瞬で過ぎ去り、前後は勾配のきつい坂道となっている。上り下りの激しい斜面は耕地には不適で、どれだけ開発しても大した影響は無い。 |
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◆峠を境に路は下りへと転じ直線の坂を豪快に駆け下りる 見てくれ、視界の先に拡がる広大な平野部を。勝央町にはこうした大規模な田園地帯が幾つもあり、わざわざ傾斜地を開墾して段々畑にする者などいない。元来優良な土地に恵まれている為、難易度の高い斜面を開拓する気などさらさらない。従って峠の開削に難色を示す者はなかったと思われる。 豪快に斜面を滑り降りる直線道路は、この界隈では頻繁に目にする光景で、珍しくも何ともない。並走する広域農道なんかはこれに似たアップダウンの繰り返しで、いかにもサンデードライバーが喜びそうな線形をしている。つまらん、これが歴史的背景を知らない場合の当路線に対する率直な感想である。 |
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◆急勾配且つ直線の長い坂が鎧乢が真っ当な峠の証し 現場はつまるつまらないというよりも、一瞬にして通り過ぎてしまう為、全く印象に残らない。結果まともな評価すら出来ない。鎧乢ってどうよ?この質問に即答出来れば大したものだ。大抵は鎧乢って何?ってとこから始まる。それくらい鎧乢は知名度の低い希薄な存在である。 鎧乢を峠と認めない、或いは鎧乢はカウントしないパスハンターもいるだろう。但し歴史に埋もれし史実を紐解けば、この峠を無視する事は出来なくなる。考えてもみて欲しい。鎧乢は曲りなりにも国道の峠である。現役国道の峠を無視して全国に数多ある車道峠は語れない。 |
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◆峠区の終点となるR429と津山広域農道との交点 確かに鎧乢の標高は低いし、高低差も激しくはない。標高云々を持ち出すと鎧乢はランク外というのも分からなくはない。しかし標高が低い峠は峠に非ずというのは少々乱暴な言い方で、貧乳は女ではないと言っているのと変わらない暴言だ。 酷い、あまりにも酷い。いくら仲間由紀恵が貧乳だからってスルーというのは人としてどうかと思う。峠と人気女優を同じ土俵で語るのは難しいが、彼女を前にして僕だったら間違いなくこう言うだろう。 早くやらせろ! 鎧乢2へ進む |